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マネー秘宝館 幕を開けた「新インフレ時代」 ますます高まる「雇われなくても働ける」備えと心構えの重要性 健康維持の「金銭的価値」も上昇

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月8日 11時0分

日本人にとって1年でもっとも「特別な日」はやはりお正月の元旦です。ほんの数日前はクリスマスを祝っていたのに、なぜか紅白歌合戦から、ゆく年くる年を見ると、日本人に戻るんですから不思議です。「区切り」があるのはとても良いことです。

そんな「いつもと同じ」年末年始を過しながら、「いつもと違う」光景を目にして驚くことがありました。まずは年末に訪れたガソリンスタンド。洗車マシンの行列は恒例のことですが、改めてガソリンの価格が高くなりましたねえ。そしてスーパーに行けば、みかんの価格が妙に高いじゃありませんか。みかんってこんなに高い果物でしたっけ?

ガソリンまでは分かるんです。完全なる輸入品で円安の影響も受けているし。しかし、みかんは国産ですからちょっとねえ。気候変動や人手不足の影響があるのでしょう。円安・コスト高・人手不足…。これらは一過性のものではありません。これからずっと続いていくかもしれない性質のものです。もしかすると、日本人がしばらく忘れていた「新インフレ時代」が幕を開けたのかもしれません。

年末のスーパーに行った際、クルマへの積み込みに困っているおばあちゃんがいたので、手伝ってあげました。丁重にお礼を言われて世間話をしたところ、「年金だけで生活するのがいかに苦しいか」を語ってくれました。大変だなあと心から同情します。私の母はコロナ禍に他界しましたゆえ、こんな「値上がり」を知らずに済みました。「それは幸せなことだったかもしれないな」と一瞬思いましたが、それは違うと思い直します。「長生きしなくてよかった」などという国が幸せであるはずはありません。

生活に関連した食品・水道光熱費・家賃などが値上がりするとした場合、まず厳しくなるのが収入がコントロールできない年金生活者です。

これについて現役世代ができる対策には、いろいろなものがあります。できるだけ貯金する、不動産や株式投資をはじめるなどなど。しかし最も簡単で有効な対策は、「できるだけ長く仕事を続けること」です。定年を働くことの終わりにしないこと。そのためには会社に文句を言うことを卒業して、雇われずとも仕事ができる自分になること。「雇われなくても働ける」自分に向けて一歩ずつ準備をすることの重要性がますます高まってきました。

これからの世の中、もっとも経済的・精神的に危険なのが「身体を壊す」ことです。働けない上に金がかかって、しかも家族に迷惑をかけるのだから、「病で倒れる」ことは最悪。「健康」を維持することの金銭的価値はますます高まってきたと言えるでしょう。

皆さん、まずは健康に気を付けましょう。その上で笑顔で働ける自分でありましょう。月並みですが、やはりそれが一番。お互い良い年にしましょう!

■田中靖浩(たなか・やすひろ) 公認会計士、作家。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て独立開業。会計・経営・歴史分野の執筆・講師、経営コンサルティングなど堅めの仕事から、落語家・講談師との共演、絵本・児童書を手掛けるなど幅広くポップに活躍中。「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)などヒット作多数。

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