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徹底解説 障害に克つ!男性更年期 「中年太り」「糖尿病」とテストステロンの関係 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師に聞く

zakzak by夕刊フジ / 2024年4月25日 15時30分

新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師(夕刊フジ)

若い頃はスリムだったのに、中年期に入ると体重が増えて腹囲が膨らむことは珍しくない。厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によれば、肥満の目安であるBMI(体重kg÷身長m2乗)「25以上」の男性の割合は33%。年齢別に見ると、20代が約29%であるのに対し、40代は約40%、50代は約39%と、40代や50代の割合が高くなっている。

この「中年太り」にも、男性ホルモンのテストステロン低下が関わっている。

「内臓脂肪が増えるとテストステロンが低下し、テストステロンが下がると内臓脂肪が増えるという『負のスパイラル』が臨床的に証明されています。メタボリックシンドロームとの関係が深いのです」

こう話すのは新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。新古賀クリニック(同)で「男性更年期外来」を開設している。日本メンズヘルス医学会の理事で、『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)の作成委員でもある。

LOH症候群とは、男性更年期障害の医学用語だ。

「テストステロンの低下は、インスリン抵抗性の指標ととてもよく相関し、2型糖尿病の発症とも関連します。実際に2型糖尿病の患者さんのテストステロン値を測ると、低いことが多いのです」

インスリンは、血中の糖分を細胞の中に取り込むために必須のホルモンである。食後に血糖が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、血中の糖が細胞に取り込まれ、その結果血糖値は正常値に戻る。インスリン抵抗性は、インスリンが分泌されても、細胞がうまくブドウ糖を取り込めず、血糖が下がりにくくなる病態であり、肥満者に多い。

近年、メタボに対する医療薬は躍進している。今年2月には保険適用のある新たな肥満治療薬が登場し、2型糖尿病の治療薬も続々登場している。

「確かに医療は進化していますが、メタボ診療の基本は食生活と運動習慣の見直しです。テストテロンが著明に低下した人には、補充療法も治療の選択肢になります」

食事と運動習慣体脂肪量減らす

このメタボ解消の基本「食生活の見直しと運動」だが、テストステロンが低下していると、運動するのがおっくうになっていく。だからこそテストステロンの秘めた力を引き出すために、肥満から脱するべきなのだ。

「食事の管理と運動習慣の継続により、体脂肪量を減らし筋肉量を増やせば、テストステロン値は上がり、負のスパイラルから抜け出すことができます。そのことをぜひ知っていただければと思います」 (取材・安達純子) 【あすは「夜間多尿」です】

■テストステロンと肥満・メタボの関係

□肥満によりテストステロンは低下し、テストステロン低値であることは肥満を助長

□男性更年期障害では、テストステロンが豊富な男性と比較し、脂肪量の割合が高い

□テストステロン低値はインスリン抵抗性と相関し、2型糖尿病の発症と関連

□高血圧、脂質異常症、高血糖などメタボリックシンドロームの要素との関連も報告されている

※『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)から

明比祐子(あけひ・ゆうこ) 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長。1988年大分医科大学卒。福岡大学内分泌・糖尿病内科准教授などを経て、2015年徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター客員准教授(兼務)、23年から現職。

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