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逸材発掘への第一声は「勉強できますか?」 “雪国の名将”が重視した心身の共通項

Full-Count / 2024年4月3日 8時0分

甲子園出場8度の名将が語った伸びる中学生の特徴とは(写真はイメージ)

■新潟明訓で甲子園出場8度…佐藤和也さんが語った「伸びる中学生の特徴」

 野球強豪校の監督は、選手のどこを見ながらスカウトや育成を行っているのだろうか。新潟明訓高を率いて春夏8度の甲子園に出場した佐藤和也さん(新潟医療福祉大野球部総監督)は2日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が甲子園出場経験のある監督選手と保護者を招いて5夜連続で開催しているオンラインイベント「甲子園予備校」に出演。「今よりも将来を重視 高校で伸びる選手の特徴」をテーマに、熱弁を振るった。

 佐藤さんは1984年から新潟明訓の監督に就任。ただ、「スカウトに関してあまり一生懸命ではなかった」という。当時は雪国の新潟で室内練習場もなく、ナイター設備もなし。授業が7時間ある日は、午後5時過ぎから練習が始まるので、すぐにグラウンドは夕闇に包まれる。その環境下ではスカウト活動も満足に進まず、当時は「どうやって甲子園に行けばいいんだ」と頭を悩ませたという。

「中学の試合を見に行って、目立つ子がいるじゃないですか。まず中学の監督さんに“あの子は勉強できますか?”って聞くんです。そういうスカウトなので、パイが小さいんです。少しでもいい選手に来てもらいたいというのはありましたけど、苦労しました」

 限られたスカウト活動の中で、佐藤さんが重視したのは「いろんな意味で癖のない選手」だという。

「体の使い方、身のこなし方、それから考え方において、なるべく癖のない子が欲しいといつも思っていました。体の方だと、筋肉にはメモリー機能があるので、癖を直していくのはなかなか大変な作業です。あとは、しっかりと聞く耳を持っているということです」


新潟明訓高前監督で、新潟医療福祉大野球部総監督の佐藤和也氏【写真:本人提供】

■“低反発=飛ばない”と語るリスク…不用意な言葉は「選手の芽潰す」

 技術的には「バランス、リズム、タイミング」を大切にしている選手に目がいく。いくら筋力トレーニングで体を鍛えても、この3つがずれてしまえば、速い球を投げることはできないし、打球も遠くへは飛ばない。

 そして考え方。聞く耳を持つということは、指導者の言うことに対して素直に従うことではない。佐藤さんは「その話を聞いて、自分を変える気持ちのあるような選手を求めていた」という。

「高速で回っているコマのようになってもらいたいんですよ。いろんな経験や体験の中から培ってきた“今こうしていくんだ”というものが軸にあれば、高速で回っても安定します」

 獲得してきた選手を3年間でしっかりと伸ばし、次のステージへと送り出すためには、指導者の「言葉遣い」も大切だ。まさしく、今春の選抜から導入された「低反発バット」がいい例だ。

「みんな金属バットが飛ばないと思っていて、指導者も“飛ばないバットに対応するため”とか言っているじゃないですか。板前さんが“自分の包丁は切れない包丁なので”と言ったら、もうその料理はまずいに決まっている。言葉の使い方はすごく重要だと思うし、不用意なことを言うことで、選手の伸びる芽を潰すことは往々にしてあるんじゃないかなと思っています」

 高校29年、大学7年の監督生活の中で、佐藤さん自身も日々アップデートをしていきながら、指導の引き出しも増やしてきた。その言葉は、これから甲子園を目指す野球少年だけでなく、未来ある選手を預かる指導者の心にしっかりと響いたはずだ。(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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