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全国出場には補助金 天然芝で打ち放題…“離島の子”を「内向きにさせない」環境整備

Full-Count / 2024年5月27日 7時50分

北海道東川町の東川大雪少年野球スポーツ少年団【写真:チーム提供】

■北海道の人口8437人の町から…東川大雪少年野球スポーツ少年団の手厚い練習環境

 北海道の東川大雪少年野球スポーツ少年団は、昨年8月の「全日本都市対抗少年野球スポーツデポ淡路島大会」で全国ベスト8に進出。学童野球の最高峰といわれる「全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」でも、2019年に全国16強入りしており、メキメキ実力を伸ばしている。Full-Countでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。小林弘明監督に話を聞いた。

 地元の東川町は北海道のほぼ中央に位置し、旭川市に隣接。人口8437人(2020年12月31日現在)の小さな町だが、チームは天然芝のグラウンド、バッティングマシン7台を備え、恵まれた環境で練習に取り組んでいる。

 小学校教員の傍ら、2017年から指揮を執っている小林監督は「子育てを盛り上げようという町の方針もあって、自治体や地域の人々の応援のお陰で、すごい環境で野球ができています」と語る。

 メンバー約40人が小学校高学年(4〜6年)と低学年(1〜3年)に分かれて練習を行う「東川ゆめ公園野球場」は、両翼80メートルで天然芝を敷設。町が土の入れ替えを含め、整備と管理を担っている。「素晴らしい球場で、町外のいろいろなチームが喜んで練習試合に来てくれますよ」と小林監督が笑顔で明かすのも、もっともだ。

 町の補助金制度も充実している。小・中学生のチームが北海道大会や全国大会に出場する場合、経費の4分の3以内を補助する制度がある。「たとえば、僕らが全国大会に出場すると、子ども1人あたり15万円ほどかかりますが、町が3分の2を負担してくれます」と小林監督が説明する。

 さらに「ある全国大会へ行った時には、いったん各家庭が15万円を立て替えた後、3分の2の約11万円が返ってくることになったのですが、当時のメンバーの親たちが『返ってくるお金の半分を集めて、バッティングマシンを買ってあげよう』と盛り上がってくれました」と振り返る。こうして少しずつ増えていったバッティングマシンが、いまや7台に上るわけだ。


東川大雪少年野球スポーツ少年団の練習の様子【写真:チーム提供】

■練習時間以外でも施設、用具の使用可能「バッティングセンターみたい」

 土・日・祝日に練習や試合を行い、平日にも自由参加の練習日を週に2〜3日設けている。練習時間以外でも、施設やクラブ所有用具の使用は可能。「球場の近くの町の施設で鍵を管理してくれていて、練習のない日にもマシンを使い、まるでバッティングセンターのようにガンガン打って帰っていく子もいます」と小林監督。「極端に言えば、どんな子でも上手くなれる環境だと思います」と目を細める。野球に興味がある子であれば、誰でも見学・体験を受け入れている。

 球場は東川町立東川小学校に隣接しており、校庭を“サブグラウンド”として、低学年の練習などに使えるのも利点だ。

 北海道といえば、冬場にはグラウンドが雪に閉ざされそうだが、「数年前、当時のメンバーの親が、経営する室内テニスコートの四方八方にネットを張り、野球の練習ができるように改造して、謝礼程度の安価で使わせてくれています」というから、至れり尽くせりである。

 クラブの指導方針の1つは、「子どもの世界を広げること」。小林監督は「北海道はいわば“離島”ですから、子どもたちも内弁慶になりがちです。町を出て北海道大会や全国大会を経験することで、どの土地でも活躍できる人間に育てていきたい」と説明する。

 とすれば、強いチームにすることも重要だ。小林監督は「試合に勝つことが全てではありませんが、勝たないと見られない世界があるなら、勝つことから目をそむけたくはありません」とした上で、「ただし、1人の投手を酷使するとか、罵声や怒声で子どもに圧力をかけて鍛える方法は取りません」とも強調する。広大な北海道の真ん中で、充実した施設に恵まれた子どもたちが、すくすくと育っている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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