[選手権予選]「地獄みたいな毎日だった」夏を乗り越えた近大和歌山。6年ぶりの全国へ6発発進:和歌山
ゲキサカ / 2015年10月30日 21時32分
[10.30 全国高校選手権和歌山県予選3回戦 田辺高 0-6 近大和歌山高 上富田スポーツセンター人工芝]
第94回全国高校サッカー選手権和歌山県予選は30日に、3回戦4試合を行い、田辺高と近大和歌山高が対戦。FW岩橋昌司のハットトリックなど大量6得点を奪った近大和歌山が6-0で勝利した。近大和歌山は中1日で行われる準々決勝で、県総体王者の和歌山北高と対戦する。
6年ぶりの選手権出場に向けて、幸先の良いスタートを切りたかった近大和歌山だが、序盤は「最初は皆、初戦ということで緊張していて、自分たちのやりたいポゼッションサッカーができなかった」(MF森下敬介)。加えて、FW鈴木友基、MF岡僚祐らが見せた田辺の前からのプレスに戸惑ったことも重なり、攻撃のギアが上がらない時間が続いたが、27分に均衡を崩した。左サイドを突破した岩橋がCKを奪うと、このクロスをMF伊藤誠祥が頭で落とし、最後はMF藤原渓が押し込んだ。徹底したポゼッションスタイルと共に、「岩橋と則岡(駿佑)はヘディングが得意なので、狙うように意識している」(森下)と自信を見せるセットプレーで田辺の壁を破ると、続く31分にもDF久原光生が自陣から相手DF裏にロングフィードを展開。素早く飛び出した藤原がGKの頭上を越すループシュートを決めて、リードは2点差に。32分にも岩橋がヘディングシュートを決めて、3-0で前半を終えた。
後半はDFラインからのボール回しでテンポよくサイドを攻め上がり、ゴール前まで攻め込む回数が増加。田辺もGK稲葉千博、主将のDF阪野航大を中心に粘り強い守りを見せて、ギリギリのところでピンチを凌いだが、長くは続かない。近大和歌山は後半11分に左サイドの森下から、右を上がったDF奥楓晟へとサイドチェンジ。素早くゴール前に入れたクロスを岩橋が頭で合わせて4点目を奪うと、続く18分にも右CKから岩橋が加点した。試合終了間際には、途中出場のMF田中友も加点し、終わってみればスコアは6-0。好発進を果たした藪真啓監督は、「次の和歌山北戦に向けて、良い準備ができた」と頬を緩めた。
昨年までは、肉体派を揃えた守備からの堅守速攻が持ち味だったが、今年は足元の技術が長けた2年生が主体。テンポの良いパス回しから、サイドを攻略するスタイルは魅力十分だが、新人戦、県総体ともに体格面で苦戦し、頂点を逃した。転機となったのは夏休み期間に行った合宿。自身もOBである藪監督が現役時代に行っていたという3泊4日の合宿を2年ぶりに復活させ、朝6時に起床し、走り込みや体幹トレーニングなどを行う4部練習を実施した。「今のチームは2年生が中心で経験が浅い。他チームの3年生に追いつくために、『2年分の夏にしよう』をテーマに取り組んだものの、ホンマに地獄みたいな毎日だった」(森下)という。
森下が「技術的よりも、精神的にも強くなった」と胸を張ったように、9月以降はこれまでなかった自信を得ると共に、巧いだけでなく最後まで戦えるタフなチームへと変貌を遂げた。久原が「全員が緊張せずに、プレーできれば十分に全国を狙える」と語り、森下も「このまま勝ち進んでいって、全国に出たい。自分たちのポゼッションサッカーが全国でも通用するのを示したい」と声を揃えたように、6年ぶりの晴れ舞台に向けて、視界は良好。残り3戦も近大和歌山らしさを見せ、勝利を掴めるか注目だ。
[写真]MF森下が「地獄みたいな毎日だった」という夏を乗り越えてきた近大和歌山が6発発進
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
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