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内田篤人とジャイキリ作者のツジトモ氏が週刊『モーニング』で特別対談!!ゲキサカでその全文を公開

ゲキサカ / 2017年2月23日 12時51分

―『GIANT KILLING』には『持田蓮』というケガを抱えながらプレーしている選手も登場します。
ツジトモ 昔から内田選手のことを応援していて、今回、こうして対談できたことはすごくうれしいんですけど、やっぱり漫画はエンターテイメントなので正直、こちらの都合でストーリーも変わってくる。だから、どんなに真剣に選手のことを知ろうと思って話を聞いたり、本を読んだりしても、ケガをドラマの表現として描いている時点で、どれだけ作品に真摯に向き合っていても、やっぱり物語を演出するひとつの要素になってしまう。それだけに今回、内田選手と対談できることになったときも、そんな僕が、現実でケガに苦しんできた内田選手に会っていいのかなとすら思っていたんです。
内田 いやいや、そこは会ってくださいよ(笑)。
ツジトモ 何となくですけど、エンターテイメントとして作品を描いている自分としては、真剣にサッカーに取り組んでいる選手たちに負い目があったというか。特に復帰までに、これだけ時間を要した選手は、あまり聞いたことがなかったですからね。
内田 サッカー選手によく起こるケガとしては、膝の前十字靱帯やアキレス腱の損傷ですけど、これは事例が多いので、こういうリハビリをして、こういうメニューをこなしていけば、だいたいこの期間で復帰できるという計算が立つんですよね。でも、僕のケガは前例がなく、復帰できるかも、どのくらいで治るかも分からない。それが一番きつかったんです。終わりが見えない、先が見えないというのは、本当に辛かったですね。
ツジトモ その光が見えたのは、鹿島に戻ってきて、ケガを診てもらうようになったときですか?
内田 そうですね。鹿島で良いドクターに出会えたことが大きかったですね。僕のケガは、完治しないので、これからもずっと、この膝と向き合いながらサッカーをしていくことになりますからね。
ツジトモ だからこそ、アスリートの人を尊敬してしまうんですよね。実は、一般の人よりもアスリートのほうがボロボロだったりするじゃないですか。そういう人たちが、体を張って、頑張っているからこそ、多くの人に感動を与えられる。
内田 サッカー選手のケガについては、それなりに分かるんです。漫画家さんの職業病みたいなものはないんですか?
ツジトモ 腰痛とかですかね。座っていることが長い仕事なので(笑)。
内田 でも、それ以上に、考えることが大変そうな気がします(笑)。漫画を描くに当たって、やっぱり選手のインタビューを聞いたり、調べたりしたんですか。『GIANT KILLING』は、サッカー選手である自分が読んでいても共感できる部分が多く、漫画なのにリアルだなぁって思って。
ツジトモ もともと選手のコメントを見聞きするのは好きだったんですよね。インタビューを聞くと、あのとき選手が何を考えていたのかが分かったりする。それが作品づくりのヒントになっている部分はあります。
内田 本当に監督目線というのがすごいですよね。僕は選手のことは分かりますけど、監督のことは分からないですもん(笑)。
ツジトモ それを言ったら、僕はどっちのことも分からないですよ(笑)。でも、選手もサッカー選手である前に一人の人間だろって開き直ってまして。選手を通じて、僕らもやる気が出たり、勇気をもらったりする。僕が描いている作品は、サッカーの話ですけど、人の心が動いたりするのは、そうした人間の琴線に触れる言葉やセリフにあるのかなと思ってます。だから、自分だったらどうなるかなとか、どうやったらモチベーションが上がるかなって想像しながら描いていますね。
内田 確かに監督って幾つかのタイプに分かれますよね。選手のモチベーションを上げるのが上手な監督、戦術に特化している監督、あとは、選手に合わせながらチームを作っていく監督と……。
ツジトモ 今まで指導を受けた中で、一番のモチベーターだった監督は誰ですか?
内田 オズワルドですね。まず覚えているのは、監督に就任した初日の練習のときに、選手全員の顔と名前を覚えていたので、『すごい仕事するなぁ』って思いました。
ツジトモ それは確かにすごい。オリヴェイラ監督は、表情からも知的なイメージが滲み出ていましたよね。
内田 他にも大事な試合前のミーティングでは、こっそり選手の家族からもらったメッセージを映像で流すんですよね。ブラジル人選手は、母国にいる家族だったりして。僕は親でしたけど、家族に『今日の試合がんばってね』って言われると、戦う気持ちになるというか、グッと込み上げてくるものはありましたよね。そういう意味で、オズワルドは、僕らの心の奥底に眠っている戦う気持ちを引っ張り出すのがうまかった。

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