[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:特別な日(三菱養和SCユース・加藤慎太郎)
ゲキサカ / 2017年7月13日 19時55分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
その想いを語り始めて15分ほど経ったくらいだろうか。会話も終盤に差し掛かった頃、呟くように言葉を絞り出す。「本当に今日1日は嬉しかったですね。アイツと戦えて。今日は本当に特別な日だったんですよ。本当に特別な日だった…」。そう話すと、“アイツ”との45分間に想いを馳せるかのような沈黙が訪れる。加藤慎太郎が宮崎鴻とピッチの上で再会した『特別な日』には、既に夕暮れ時が迫っていた。
加藤が三菱養和のスクールに通い始めたのは小学校3年生の頃。「俺はジュニアに入りたくて、メッチャ一生懸命やっていたんですけど、全部1人でやって1人で決めてみたいな感じだったので、1人だけ浮いていたんです」と振り返る日々を送る中で、ある日突然“アイツ”が現れる。
「毎日オーストラリアの黄色いニット帽をかぶっていたんです(笑)」と加藤が嬉しそうに明かした“アイツ”が宮崎。それまで自分が1番だと思っていた加藤にとって、体も強くボールキープに長けた宮崎の存在は衝撃的だったが、ジュニアに入るという同じ目標を持っていた両者はすぐに仲良くなる。覚えているのは「シンちゃん頑張ろう!」と語り掛けてくる優しい笑顔。4年生に進級するタイミングで、本来は5年生から入れるはずのジュニアに揃って飛び級で加入。上級生ばかりのチームの中で励まし合い、助け合いながら腕を磨いた。当時から飛び抜けて大きかったという2人は2トップを組むこともあったという。
巣鴨のジュニアユースに昇格した後も仲の良さは変わらない。加藤はポジションをディフェンスに移し、宮崎は変わらず前線で躍動する。現在はU-17日本代表で中核を担う中村敬斗も、2トップを組んでいた1つ年上の宮崎について「体の強い選手なので、中学校の時は収めてもらって、僕が足元でもらって裏へ抜けるとかやっていましたね」と言及する。
ただ、中学3年生になって進路を決める段階で、ユースへ昇格することになった加藤は、宮崎が三菱養和を退団し、前橋育英高に進むという事実を知る。「鴻が前育に行くって聞いて、退団が決まった時にも『何でだよ』ってずっと思っていた」加藤だったが、「同じピッチでやるには戦うしかないと」決意を定める。三菱養和SCユースはプレミアリーグからの降格が決まり、翌シーズンは前橋育英とプリンスリーグ関東で同居することになっていた。クラブユースと高体連に進む2人にとって、勝負できる舞台は1つのみ。「『絶対に戦おう』って約束した」加藤と宮崎は別々の道を歩み出すことになる。
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