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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:熱を持っている大人(ブリオベッカ浦安・柴田峡監督)

ゲキサカ / 2017年7月27日 19時54分

 教え子たちとの再会に水を向けると、「笠松は3年間見ていた子だし、(坂谷)武春も1、2年生の時に見ていた子だし、特に健造はJに行ってなかなかうまくいかなくて、山雅にも練習に来たから、それは嬉しいよね。中学から知っている(清水)康也もあんなふうになってやってくれているし、相馬(将夏)は今ケガしちゃってるんだけど、あの子たちだけじゃなくて、他の選手たちもだいたい知り合いの教え子な訳じゃない。何とか1年でも長くやらせてあげたいなとは思うけどね」と笑顔を見せながら、シビアな言葉も口を衝く。

「でも、彼らは“何か”が未完成だからここにいる訳で、ある程度ストロングポイントが明確であれば、もうちょっと上に行けている素材じゃない。それが素材として行けなかったのか、後天的な努力の不足で行けなかったのか、いろいろなマッチングはあると思うけど、じゃあ足りない“何か”とちゃんと向き合ってやったことがあるかということは、どこかでアプローチしていってあげないといけないかなと思うよね」と言い切る強い口調からは、プロ指導者の現実的な側面も窺えた。

 7月22日。就任してから1分け1敗で迎えた、3試合目のリーグ戦となるFC大阪戦。ファーストステージを3位で終えている強豪に、浦安は前半から好ゲームを展開する。32分に南部がエリア内で倒されて得たPKを、清水が冷静に沈めて先制すると、その4分後には柴田も「でき過ぎだよ、アイツ。あんなの見たことねえよ」と笑う南部のヒールシュートがゴールネットを揺らし、2点のリードを携えて45分間を折り返した。

 ところが、一転して後半は防戦一方に。再三のピンチにスタンドからも悲鳴が飛ぶ中、後半18分に失点してたちまち1点差に。さらに猛攻を食らう終盤に、途中交替していた南部は「正直もう見てられなかったので、『ベンチにいたくない』と思いました」と苦笑する。後半アディショナルタイムにはクロスバーにも助けられ、何とか2-1のままでタイムアップのホイッスルを聞く。柴田にとって就任後の初勝利は、チームにとってもリーグ戦9試合ぶりの白星。選手とラインダンスで久々の歓喜を共有したスタンドにも、少なくない笑顔の花が咲いていた。

 実はこの勝利にはある“アシスト”もあった。セカンドステージ第2節の終了後から、チームの練習に前JFA技術委員長の霜田正浩が加わっている。本人も「ボランティアで友情応援ですよ」と言うように、正式就任という形ではないものの、「オレも少し余裕が出たし、選手もシモのトレーニングに凄く食い付きが良かったんだよ」と柴田も認める霜田の指導が、この日の浦安にポジティブな影響を及ぼしていたのは間違いなさそうだ。FC東京時代から10年を超える付き合いの両者だけあって、「シモはオレに遠慮しないし、オレもシモには遠慮しないから、お互いに言いたいことを言える仲というのは大きいじゃない。それはありがたい話だよね」と楽しそうな柴田。最近は通勤の車の中でのミーティングが恒例となっている。この臨時コーチの“友情応援”も柴田の人徳がなせる業と言えるだろう。

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