伝説のPKストッパー…驚異のPK阻止率の“秘密”に迫る:前編
ゲキサカ / 2017年10月13日 22時14分
今夏より母国のフラメンゴでプレーするGKジエゴ・アウベス(32)はリーガ・エスパニョーラ史上最高のPKストッパーとして“伝説”を残した。07年からアルメリア、11年からはバレンシアのゴールを守り、48回のPKのうち実に22回をストップ。驚異のPK阻止率の“秘密”はどこにあるのか。PKの真実とは何なのか。蹴る側と止める側、双方について英紙「フィナンシャル・タイムズ」が総力取材。大型ルポルタージュとして展開した。以下、「クーリエ・ジャポン」より抜粋し、前編・後編に分けて掲載する。
From Financial Times (UK) フィナンシャル・タイムズ(英国)
Text by Murad Ahmed
2016年10月2日、リーガ・エスパニョーラで驚くべき記録が達成された。
バレンシアは本拠地のメスタージャ・スタジアムで、同じくスペイン最大のチーム、アトレティコ・マドリーと対戦していた。前半終了間際、スコアは0-0だったが、審判がアトレティコにPKを与えた。双方のサポーターから拍手と抗議の声が沸き起こった。
大観衆が見守る中、フランス代表FWでもあるスター選手、アントワーヌ・グリエーズマンは腰を屈めてボールを拾い上げた。
グリエーズマンの身長は175cm。この金髪のストライカーは、他の選手と比べても背が低く華奢な体つきだ。だが彼は相手チームの守備陣の間に隙間を見つけて、その隙間を通るように蹴ったボールを変化させ、ゴールに叩き込む技術にかけては世界最高とも称される選手だ。その技術で、EURO2016において彼は母国の準優勝に貢献し、「ゴールデンブーツ(得点王)」ならびに最優秀選手賞(MVP)を獲得している。
PKはどれも与えられたものだ。約11m離れたところから自由にシュートをするのだが、邪魔する相手はゴールキーパーしかいない。それゆえ一流のサッカーチームでは、PKの成功率は75%に達する。
しかし、試合開始から44分経過したこのとき、グリエーズマンはイライラしている様子だった。「彼の顔を見ると分かるよ。すべて彼の顔に書いてあるから、見てみればいい」。この日、グリエーズマンの前に立ちふさがっていた31歳のブラジル人キーパー、ジエゴ・アウベスはのちにこう語った。鮮やかなグリーンのジャージに身を包んだアウベスには、自信があったのだ。
それはヨーロッパのトップリーグで最高のPK阻止率を挙げた男が持つ自信だった。計算法により異なるが、彼のPK阻止率は50%を超えるという。
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