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伝説のPKストッパー…驚異のPK阻止率の“秘密”に迫る:後編

ゲキサカ / 2017年10月14日 0時28分

 ではその配分はどうすればいいのか。パラシオス=ウエルタの計算によれば、キッカーにとって理想的なPKは61.5%をナチュラルサイドに蹴りこみ、残りの38.5%をその反対側に蹴り込む、ということだ。逆にキーパーは、58%はナチュラルサイドに飛ぶべきだ。ちなみにキーパーのナチュラルサイドは利き手で決まる。

 彼はさらに、一流の選手は「少数の法則」にとらわれないのでPKも成功させるのだ、と述べる。

 どういうことか。記者が疑問をぶつけると、彼は「コインを10回投げた結果を想像してください。その結果を、表はH、裏はTで書いてみてください」と言った。

 記者が記録した結果は「HTTTHTHHTH」となった。

「だいたいそうですよね。みんな50対50の確率からそれほど外れない結果を書くものです。試行回数を増やせば50対50の確率に近づく、ということをあなたも知っていますよね。だから、少ない試行回数でもその通りになるようにしがちなのです」

 しかし、これは誤解に基づいている、とパラシオス=ウエルタは指摘する。

「私があなたに、10回ではなく50回分の結果を書いてみるようにお願いするとしましょう。おそらく、あなたは表か裏のどちらかを4回続けて記録することはまずないでしょう。でも実際に50回試行してみると、少なくとも一度は4回連続で同じ面が出るはずです。人間は少数の法則に従うのです」

 多くのサッカークラブが統計分析を駆使してPKの戦略を立案するようになっている。リバプールもその1つだ。プレミアリーグの一員としては、フェンウェイ・スポーツ・グループの子会社だ。フェンウェイ・スポーツ・グループは、ボストン・レッドソックスの親会社でもある。

 レッドソックスはアメリカの野球チームだが、2002年に28歳のセオ・エプスタインがGMとなり、チームの流れを変えようとした。エプスタインは統計学的見地からスポーツを分析する「セイバーメトリクス」の信奉者だ。GM就任から2年後に、レッドソックスは86年の歴史で初めてワールドシリーズに優勝した。『マネー・ボール』で有名な話である。

 フェンウェイは2010年にリバプールを買収したあと、サッカーでも同じような改革を試みた。リバプールの分析担当部門を率いていたイアン・グラハムはかつて、データ収集企業のデシジョン・テクノロジー社で働いていた。そしてもう1人、マイケル・エドワーズは、トッテナムとポーツマスでパフォーマンス分析を担当していた。

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