『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:幸せな時間(東京朝鮮高)
ゲキサカ / 2017年11月9日 20時25分
ベスト4まで進出した関東大会予選を受け、明確に全国を目指して臨んだ総体予選はPK戦の末、初戦で早大学院高に敗退を突き付けられたが、立ち止まっている時間はない。T1リーグで実戦経験を積み、一歩ずつ、一歩ずつ、チームを創り上げてきた。選手権予選も苦戦の連続。1回戦は2-1で辛勝し、2回戦と準々決勝は共にPK戦を粘り強く制して、西が丘まで到達する。「能力的には去年の方が高かったですし、そういう意味ではキャプテンを中心に3年生が自分たちの状況を把握して、マジメにトレーニングや学校生活に取り組んできた結果だと思います」と姜監督。苦労して、苦労して、ようやく見えてきた全国への扉。それを簡単に閉ざしてしまうことは、何より自分たちが許さない。
後半20分。反撃ののろしが上がる。左サイドでボールを持ったハン・ヨンギのクロスに、大外から突っ込んできたチョン・ユギョンは体を投げ出してダイビングヘッドを敢行。ボールはゴールネットへ突き刺さる。2-1。にわかに活気付く東京朝鮮の応援スタンド。ただ、関東一もその5分後には強烈なミドルで、再び2点差に突き放す。粛々と進んでいく時計の針。少しずつ消えていく残された時間。
ベンチが動く。後半28分にカン・アスン、後半31分にはパク・リョンイとユン・チスを同時投入。「チーム立ち上げから『11人だけでは戦えない』ということで、しっかりやらせてきたつもり」という姜監督は「迷わず、信じて」次々にカードを切っていく。すると後半34分。投入されたばかりのカン・アスンが、右サイドから丁寧にクロスを上げる。前線に上がっていたチョン・ユギョンのヘディングが、ゴール左スミへ綺麗に吸い込まれた。3-2。1点差。明らかにスタジアムの“雰囲気”が変化していく。
今予選の東京朝鮮は、途中出場した選手の活躍がチームをベスト4まで引き上げてきた。2回戦の早稲田実高戦。至る所に水たまりができるピッチコンディションの中、1点のビハインドで迎えた試合終了間際の後半37分。残り10分で投入されたシン・ジュンボムが鮮やかな左足ミドルを叩き込む。聞けば彼にとっては、これがAチームでの公式戦初ゴール。「試合に出て活躍するのが僕の目標だったので、メンバー止まりではダメだと思って、ちょっとでも試合に出られるように、練習や試合を見て『頑張ろう』と思っていました」という3年生の一発で追い付いたチームは、PK戦で激闘をモノにする。その試合後。ハン・ヨンギが殊勲の同点弾を決めた同級生に対し、「神様に見えましたね(笑) 本当に凄かったです」と称えた笑顔が印象深い。
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