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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:届かなかった“あの場所”(國學院久我山高・平田周、上加世田達也)

ゲキサカ / 2017年11月15日 17時30分

國學院久我山高のGK平田周(上段左端)、上加世田達也(上段左から2人目)

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 平田周は失点を喫してから、試合が終わるまでの40秒余りを全く覚えていないという。「ゴールが入った瞬間から、自分があの時何を見ていたかもわからないし、あの時の光景を思い出せないというか、ただ茫然としていただけだったと思うんですけどね」。延長後半のアディショナルタイムに待っていた残酷な幕切れ。平田と上加世田達也が2年間に渡って抱え続けてきた想いは、“あの場所”へ届かなかった。

 2年前の4月1日。前年度の高校選手権で全国ベスト16に入った國學院久我山高が、T1リーグ(東京都1部リーグ)の成立学園高戦へと臨む一戦のスタメンに、まだ入学式も迎えていない1年生の2人が、それぞれゴールキーパーとセンターバックとして名を連ねる。それだけでも驚くべきことだったが、結果的にその2人は90分間フル出場を果たし、チームの完封にも貢献。清水恭孝監督の「彼らが普通に良いから使っているんです」という言葉にも頷けるパフォーマンスを披露する。そのゴールキーパーが平田で、センターバックが上加世田。堂々たるプレーぶりに「この子たちはここからどう成長していくんだろう」と感じたことを記憶している。

 シーズンを通じてレギュラーを守り続けた彼らが脚光を浴びたのは、東京予選3連覇を達成し、躍進を誓って乗り込んだ高校選手権。とりわけ青森山田高との準決勝では、同じFC東京の下部組織出身だった廣末陸と平田の対決に注目が集まる中、チームは後半アディショナルタイムの決勝ゴールで劇的な逆転勝利。試合後のミックスゾーンでも平田に取材陣が殺到した。元々そういう場が嫌いではないこともあってか、キャッチーなエピソードを連発する彼を中心に笑いの渦が起きる。上加世田は「取材もしてもらっていましたけど、僕はチーム内でも一番少なかったぐらいじゃないですか」と回想したが、最後は東福岡高に大敗したものの、全国のファイナルまで辿り着いた久我山にあって、2人の1年生に対する周囲の目が大きく変化したのは間違いない。ただ、その華やかなステージの終幕は、彼らにとって「長く苦しい2年間」(平田)の始まりでもあった。

 全国準優勝という肩書を携え、様々な面で期待値の高まった久我山の新シーズンがスタートする。ところが、関東大会予選ではベスト16で敗退すると、総体予選は一次トーナメントも突破できず、思うような結果が付いてこない。この頃に聞いた、上加世田に対する清水監督の言及は印象深い。「アイツも3年生が周りにいて、1年生1人で頑張っていれば良かったのが、一気にリーダーになっちゃったので、そこの負担は大きいなという気はしますね」。本人も当時を少し苦々しく振り返る。「2年生の時は自分の良いプレーが全然出せず、調子が上向きに上がってこなくて、かなり不調でした。全国で準優勝したということで慢心というか、『また行けるでしょ』みたいな気持ちがあったのかなと思います」。そして、なかなかチームの歯車が噛み合わない中で、東京4連覇の懸かった選手権予選がやってくる。

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