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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』: 道標(関東一高・篠原友哉)

ゲキサカ / 2017年12月31日 7時41分

 それでも広島観音高と激突した3回戦で、その存在価値を証明する。0-0で突入した後半アディショナルタイム。嶋林昂生からのクロスを収めた篠原は、左に持ち出しながら左足を強振。右スミへ向かったボールはゴールネットに激しく突き刺さった。ゴールの瞬間に足が攣り、交替を余儀なくされたのはご愛敬。「ゴールが入って篠原の方に行こうと思ったら足が攣っていて、『アレッ』てなって(笑) でも、アイツは最後の最後で点を決めてくれますから」とキャプテンの小野凌弥が話せば、本人も「ゴールを決めても攣って交替はカッコ悪いですよね」と苦笑い。準々決勝の対戦相手は、3年連続の対峙となった市立船橋。「前回はボールも持たせてもらえなかったので、自分のプレーを存分に発揮して絶対に勝ちたいです」と意気込む篠原。見事に舞台は整う。

「なんかもう… また何もできなかったです」。市立船橋戦後の取材エリアで、篠原はこう絞り出した。過去の2度と同様に1点差での敗戦だったが、「勝てない試合でもなかったし、自信にもなりましたけど、悔しさも感じました」と重田快が話したように、3度目の対戦が最も“イチフナ”に肉薄したのは間違いない。ただ、負傷を考慮された篠原は後半12分から途中出場したものの、流れに乗り切れず、今年も敗退のホイッスルをピッチで聞いた。「最初から出たかったですし、自分が入っても流れが変わらなかったので、まだまだ自分はダメだなと思いました」。懸ける想いも強かっただけに、その落胆も大きい。篠原にとって2度目となる夏の全国は、再び悔しさだけを募らせる結果となった。

 それから3週間後。取材で訪れたT1リーグのメンバーリストに篠原の名前はなかった。会場には姿を見せていた本人と、木陰に座りながら言葉を交わす。「インターハイの前にケガしたのがずっと治ってないという感じです」「みんながサッカーをやっているのに、自分はサッカーをやれないので、凄く歯がゆいです」。本音が顔を覗かせる。その直前。小野監督は彼に対して、厳しい見方を口にしていた。「言葉が上手ではない子なので、こちらに伝えてくるものが結構アバウトな状態なんですよ。もっとやれることはあるのに、それをやらないで来ている所があって、アイツのほんわかしている所は良い部分ですけど、そこは成熟して、大人としてやっていかなきゃいけない所だと思うんですよね」。

 篠原も指揮官の想いは重々承知していた。「“言葉足らず”とは言われていて、どう直せばいいのかわからないですけど、そこを考えていないというか、そこで理解できていないのがダメなんだと思います」「プレーで引っ張りたいというのもあるんですけど、声が大事だなと思うこともあって、言葉の数を増やさなきゃいけないというのは思っています」「監督にはずっと言われているので、頑張らないといけないですよね」。時折除く“ニコ~”といういつもの笑顔にも力がない。ボールを蹴ることのできない時間が続いていたことも相まってか、いつも以上に悩んでいるようにも見えた。

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