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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』: “まだまだ”のキャプテン(前橋育英高・田部井涼)

ゲキサカ / 2018年1月12日 7時5分

 また、涼はキャプテンとしてサッカー面のみならず、私生活の部分に関しても、チームメイトに高い意識を求め続けてきた。キッカケは言うまでもなく“0-5の埼スタ”。後半29分から出場したものの、何もできないまま、試合終了のホイッスルをピッチで聞いた。「やっぱりあそこで良いプレーができなくて、『何でできないんだろう?』と思った時に、自分も私生活が全然ダメだった」ことを痛感した涼は、まず自分の日常を変える努力に着手する。授業中は寝ない。きちんと挨拶する。グラウンドを綺麗にする。「そういう所もしっかり自分からやっていかないと人には伝わらないと思うし、『アイツやってないじゃん』みたいなことも言われちゃうので、やっぱり自分から変わるというのが一番でしたね」。

 そんな彼には2人の目指すべきリーダーがいた。1人は昨年度のキャプテンを任されていた大塚諒(立教大)。もう1人はやはり昨年度の部長を務め上げた長澤昂輝(東洋大)。「あの人たちも裏では相当悩んだと思うんですけど、表では本当にそれを出さなくて、笑顔で振るまったり、後輩にも話しかけてくれたりしていて、そういう所をずっと見てきたので、そこは真似をしていますね」。とりわけ長澤の姿勢には想う所が多々あった。「昂輝さんは自分より厳しく言っていたんです。たぶん嫌われるのを覚悟で目標に向かって頑張っていたと思うので、その背中をずっと見ていた自分も『やらなきゃ』って思いましたね」。サッカー面では双子の兄の悠や角田涼太朗たちも意見を発信してくれる。「自分はそれ以外の所を厳しく言うのが使命」と覚悟を決めた。

 とはいえ、大人でもそんな役回りを務めるのは容易ではない。ある時、涼がふとこうこぼしたのを強く記憶している。「疲れますよね。体力的には全然大丈夫ですけど、精神的には。『言う』って簡単なことじゃないので、嫌われると結構精神的に来ます」。それでも部長の塩澤隼人と共に、皆の模範となるよう心がけつつ、チームメイトには常に厳しい言葉を掛け続ける。すべては、あのスタジアムで日本一になるため。すべては、このチームで日本一を獲るため。

 9月上旬。準決勝で流通経済大柏高に敗れた全国総体が終わり、公式戦が少し空いたタイミングで、涼は新チームになって2度目となる3年生だけのミーティングを提案した。夏までトップチーム以外の最上級生は同じチームでプレーしていたものの、リーグ戦に臨むカテゴリーが明確に分かれたことで、それぞれの選手間に意識のギャップが生じていることを、敏感に察知したからだ。「この学年で日本一を獲りたいので。やっぱり試合に出ている人だけが頑張っても、選手権は勝てないじゃないですか。ベンチやスタンドを見ていて出てくるパワーというのが、僅差の勝負を分けると思うので、ミーティングをやりました」と涼はその時を振り返る。

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