「8%の試合結果に決定的な影響」…IFABがビデオ判定の資料公開、ロシアW杯でも導入へ
ゲキサカ / 2018年1月23日 19時30分
サッカーのルールを制定する国際サッカー評議会(IFAB)は22日、第132回年次会議を行い、世界各国で導入が進められているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)制度に関する報告をまとめた。発表された資料によると、VARの導入によって24%の判定ミスが正され、8%の試合結果に「決定的な影響」を与えるという。
VARはピッチ上でプレーを裁く主審、副審、第4審らに加え、別室でモニター監視を行うVARが判定に介入する制度。主審の「確実かつ明白な誤審」に対し、あらかじめ身につけた装置を通じて助言を行い、あらためて主審の判定を仰ぐといった形で活用されている。
初めて国際試合で使われたのは2016年12月のクラブW杯。鹿島アントラーズ対アトレティコ・ナシオナルの一戦で介入があり、鹿島に歴史的なPKが与えられた。現在では昨年5~6月のU-20W杯の他、イングランド、イタリア、ドイツなどの各国で20以上の大会に広がっている。
IFABは22日、10枚のメディア向け資料を公開。16年3月の実験開始以降、804試合で同制度の活用を進めてきたことを発表した。また、リアルタイムで使われた試合のみを対象とし、分析データを公開。24%の判定ミスが改善され、8%の試合結果を動かしたと総括した。
VARの確認が入った総数は全体で3947回で、1試合あたり5回未満。大半は試合を干渉しない形で終わった。試合に介入しなかった試合の割合は全体の68.8%。VARを使わない主審の判定は93%が正しく、「確実かつ明白な誤審」は3試合に1試合にとどまった。
VARがプレーを確認するのに約20秒間(中央値)かかり、ゴール判定の場合はセレブレーションの時間中に終了。レフェリーの判定に至るまでの時間は約60秒(中央値)だった。プレーイングタイムの1%にあたり、FKの9.5%、スローインの8%に比べて大幅に短い数字となっている。
さらに細かい内容では、VARが使われた場面の内訳も公開。56.9%がPKもしくはゴール判定をめぐるもので、42.3%がレッドカードの判定に関するもの。その他が「人違い」によるものであるとした。
VARを活用した判定は98.9%が正しいものとなった一方で、20試合に1試合の割合で「確実かつ明白な誤審」でない場合に介入が行われていた。これは「感知、判断などにおけるヒューマンエラー」によって起こるため、「経験を積み、トレーニングを重ねることで改善すべき」と述べられている。
評議会を取材した海外メディア各社は同日、6月に始まるロシアW杯でもVARが導入される可能性があると報道。国際サッカー連盟(FIFA)の幹部は「公平性を担保するために、テクノロジーの導入は重要だ」とコメントしており、前向きな立場を明らかにしているという。
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