『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』: 一歩ずつ。一歩ずつ。(FC町田ゼルビアユース)
ゲキサカ / 2018年2月22日 19時16分
印象的だったのは試合終了直後。サポーターに挨拶を終えたばかりの選手とスタッフはベンチに帰らず、そのままピッチ中央でミーティングを始めた。「『悔しい』ということはまず共有しないといけないし、『何か足りないからこうなるんだよね』ということの“何か”をすぐ感じる必要はあって、試合に出ていた子だけに限らず、ここにユースの選手としていたことで、きっと感じたり成長したりすることがあると思うので、全員で共有する必要があったから、ピッチですぐ話しました」と明かした指揮官は、こう続けた。「そんな勝負は簡単ではないので、追い付いた所までは彼らが何か着実なモノを得ていると思いますけど、やっぱり“最善”は存在する訳ですし、ましてや勝っていない訳で、『これをきちっと持ち帰ろうね』ということは共有しています」。3人を欠いた90分間で、彼らの“最善”へ届かなかったゼルビアユースは、3位決定戦を戦うことになる。
2月11日。西が丘。FC東京U-18に3点をリードされて帰ってきたハーフタイム。竹中の怒声がロッカールームへ響く。「負けたら自分たちより悔しがっているんじゃないかというぐらい、勝負にこだわる監督」(佐藤)の檄が効いたのか、後半はリズムを取り戻し、鈴木舜平のゴールで1点を返したものの、試合終盤にPKで加点され、終わってみれば1-4の完敗。「たぶん相手のユニフォームでビビっていたというのはありますね」と鈴木舜平が話せば、「まだ名前負けの部分はあると思います」と佐藤。最低限の目標は達成したものの、小さくない課題を手にする格好で、彼らの“新人戦”は幕を閉じた。
クラブがアカデミーを重視する姿勢は、様々な施策からも窺える。昨年の夏にはアカデミースタッフの酒井良氏が1年間の研修を行っていたセルビアのFKヴォイヴォディナ・ノヴィサドというクラブに、前田と佐藤が短期留学を敢行した。「言葉も全然通じないから、最初の2日とか、俺もコミュニケーション取ろうとしているのに“ガン無視”されたんですけど、3日目に試合があって、スピードでガッと持っていったら『えっ?』『ブラボー!』みたいになって、そこから声を掛けられるようになって。結局世界はサッカーが基準なので、そこで認めてもらえるかどうかは、本当に面白かったですね」と当時を振り返るのは前田。2週間とはいえ、彼らが海外で得てきた経験は何物にも代え難い。
ただ、同様にJクラブアカデミーの特権とも言える、トップチームとの連携の部分で、ユースの3選手のキャンプ参加を受け入れた相馬直樹監督は、「彼らを評価するのは竹中やアカデミーダイレクターで、僕の仕事ではないので、凄く頑張ってくれていたと思っています」と前置きしながら、こうも口にしている。「ただ、実際は遠慮して終わってしまった部分もあると感じています。変な話、『自分が同じ立場で行ったら、凄くギラギラしてるのにな』って。彼らが本当にプロになりたいとか、何か今と違う景色に飛び込んでいきたいというのであれば、そういうことが必要かなと思います。だから、僕が評価するというよりも、彼らにちゃんと振り返って欲しいなと。それが彼らの今後の一日一日になっていくと思うので」。
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