『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:二回り目の“千両役者”(FC琉球・播戸竜二)
ゲキサカ / 2018年3月29日 20時19分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
「こうやって試合に出れて、サッカーをやれるというのは本当に幸せやし、改めて38歳で『また青春してる』って感じやな。20年やって、また二回り目みたいな感じやし、『還暦迎えて、もう1回』みたいなね」。プロの門を叩いたのは18歳。それから20シーズンに渡って、歩みを止めることなく走り続けてきたストライカーは、そう言ってニカッと白い歯を見せた。その笑顔、まさに千両役者。播戸竜二は今、沖縄の地で“二回り目”のキャリアを謳歌し始めている。
J1通算325試合87得点。J2通算52試合20得点。Jリーグの舞台で107ものゴールをこじ開けてきた播戸が、プロ21年目となるシーズンを迎えたのはJ3のFC琉球。ただ、カテゴリーのことを問われても、明確な答えが返ってくる。「『J3やからどう』とか、『J2やから』『J1やから』とかはあまり関係ないかな。それはJ1でやれたら一番いいけど、もうこの年齢やし、こうやってカテゴリーが落ちてくることはしょうがないことで。でも、そこならそこでやれることがあるし、チームと成長しながらやるということには変わりないから、目の前に試合があって、優勝という目標があって、それに向かってただひたすら頑張るみたいな、ホンマシンプルにそれだけ」。J3優勝。この唯一の目標達成に向かう、播戸の2018年が幕を開ける。
ホーム開催となった開幕戦は後半41分からの途中出場。琉球サポーターへのお披露目を済ますと、アウェイのミクスタに乗り込んだ第2節のギラヴァンツ北九州戦は、残り30分でピッチへ登場する。その役者ぶりを見せ付けたのは後半29分。西岡大志が右から上げたクロス。播戸の体が宙を舞った。「ちょっと速くて、マイナス気味のボールやったけど、じゃあ、どの角度で、どの体勢で、どこに当てて、どこに流し込むというのは、もうだいたい体が覚えてるから」というヘディングは、左スミのゴールネットへ美しく吸い込まれる。一目散にベンチ方向へ走り出す11番と、彼を中心にできた喜びの輪。「やっぱり久しぶりのゴールで、勝ち越しのゴールやったし、みんな喜んでくれたから、なんか嬉しかったね」と振り返る一撃は、リーグ戦に限って言えば実に2年8か月ぶりとなるゴール。これが決勝点となり、琉球は開幕連勝を飾ることに成功する。
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