『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:やらかし世代の“135度”(都立狛江高)
ゲキサカ / 2018年5月5日 9時27分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
長山拓郎監督が繰り返し口にした「普通の都立高校なので」のフレーズ。何度目かのそれへ続けた言葉に力が籠もる。「それでも毎日一生懸命頑張っていれば、『都立の意地』じゃないですけど、ここまでできるということが他の都立高校の力になればいいなって思っています」。関東大会予選で東京4強まで駆け上がった狛江高。“普通の都立高校”が見せた快進撃は、まさに高校生が秘める無限の可能性を証明してくれているのかもしれない。
6月に群馬で行われる本大会へ進出するための、2枠を巡って争われる関東大会東京予選。出揃ったベスト8の顔ぶれに、見慣れない都立高校の名前が並ぶ。都立狛江。昨年度も総体予選では一次トーナメント決勝まで、選手権予選でもブロックベスト16まで勝ち進むなど、一定の結果は残してきたものの、都内の8強だとインパクトが違う。しかも初戦で延長戦の末に倒したのは、昨年度の選手権予選で西が丘のピッチに立った東海大菅生高。続く駒込高戦も1-0で競り勝ち、大成高と激突する準々決勝へ挑む。
守備の時間が長くなるのは織り込み済み。「防戦一方になるのはわかっていたので、こらえてこらえて最後ということで、とりあえず守ることからでした」と話すのはキャプテンの安藤貴大。センターバックの曲木雄吉も「もう耐えて、耐えて、耐えて、耐える試合だと思って今日は来ました」と明言する。GKの八木下悠太がファインセーブを披露すれば、曲木と最終ラインの中央に構える奥村直木もギリギリの局面で体を投げ出した。「要所要所で、最後にゴールの前だけはきちっと守るという所は、意識できたんじゃないかなと思います」とは長山監督。延長も含めた100分間は0-0で終了。準決勝進出の行方はPK戦へ委ねられる。
4人目までは安藤、新井湧大、山本由稀、曲木とすべて3年生がキックを成功させると、大成の5人目を八木下がストップ。スタンドにどよめきが起こる。後攻の狛江5人目も3年生の前原龍太郎。右スミを狙ったボールがゴールネットへ到達する。「これは奇跡ですね、本当に」と笑った指揮官。PK戦の直後は素晴らしい勝利を収めた割に、比較的落ち着いたチームの雰囲気が印象的だったが、しばらくすると実感が湧いたのか、選手にもスタンドの応援団にも高揚感が広がる。東京4強へ。“狛江の春”はもう少し先まで続くことになった。
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