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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:やらかし世代の“135度”(都立狛江高)

ゲキサカ / 2018年5月5日 9時27分

 試合後。長山監督に話を伺う。「守備をしっかりやるのが狛江高校のチームカラーというか、ウチは私立の強豪校ではないので、入ってきた人をどれだけ成長させられるかと、私立の足元を食えるかという所で、とにかく守備をしっかりやると。それがうまくハマって、今大会は失点ゼロで来ていると思います」と切り出しつつ、「ウチはやっぱり普通の都立高校なので、『とにかく粘り強く』と。コイツらは毎日朝練もしていますけど、『サッカーだけじゃなく学校生活もしっかりやれよ』ということで、厳しい練習というよりは、厳しい私生活を送っているので、『そういうことが最後の最後の所で勝負を決めるんだよ』と言い続けていることが、結果と繋がっているのかなと思います」と言葉は続く。

 “厳しい私生活”には理由があった。「1個上の代は結構一体感があったんですけど、この代は1年生の時から遅刻が多かったりとか、提出物を出さないとか、先生に怒られてきた代で、夏の間は『オマエらは練習しなくていい』となって、ずっと掃除してたりしていたんです」と明かす長山監督。その話を振ると、「自分はたぶん筆頭で“やらかして”いて、正直本当に迷惑ばかり掛けていたんですけど」とバツの悪そうな表情を浮かべたのは曲木。「授業中にお弁当を食べたりとか、くだらない所なんですけど、そういう所が全然しっかりしていなくて、言われると結構反省するのに、2日くらいすると忘れちゃって…」というエピソードが何とも高校生らしい。

 同じく“やらかし”仲間だったという新井も、「1年の時は大人数で遅刻とかして、遅刻したメンバーは、夏休みの選手権予選が始まったくらいから、9月か10月の文化祭くらいまで、グラウンドに入れない、みたいな。その間は本当に先生にも見られていなかったので、自分たちで走ることとか筋トレしかできなくて、周りの他のみんなにも迷惑を掛けているし、居場所がなかったです。その頃は落ち葉拾いとか、部室の掃除とか、できることは全部やりました」と苦笑しながら当時を振り返る。

 こういった体験を経たことで、意識も少しずつ変わっていく。「1年生の頃は先輩に付いていっているだけで、あまり自覚もなかったですけど、2年生で試合に出始めてから、結構変わったかなって思います。ちゃんとやっていない人には言ったりとか、そういうのはできるようになってきました」(新井)「『チームに迷惑掛けたくない』とか、『チームで勝ちたい』って思うと、頑張れる自分がいますね。このチームを後ろから盛り上げていかないと勝てないなって凄く思うし、もう“135度”くらい変わりました。更生しましたね」(曲木)。長山監督は選手たちにこう語り掛けているという。「『担任や他の教員から応援される人間になれ』って言っています。サッカーの上ではみんないい子たちなんですけど、1年の頃のこともあってなかなか“応援されない代”だったので、クラスに戻ってもリーダーになったり、『そういう所で応援される人間になれ』って」。『応援されない代』から『応援される代』へ。彼らの私生活における“135度”が、サッカーにも好影響を及ぼし始めているのは間違いなさそうだ。

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