1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:やらかし世代の“135度”(都立狛江高)

ゲキサカ / 2018年5月5日 9時27分

 前述した準々決勝のPK戦。実は勝利を決めた直後の落ち着いた態度は、ある反省から来ていた。「去年のインターハイ予選でPK戦で勝った時に、運営のヤツが飛び出しちゃって、後で凄く怒られたんです。だから、今回は5人目が蹴る前から『アイツが決めても絶対に行くな』とみんなに言っていて。『相手も悔しいだろうし』と。自分たちは謙虚にやらないといけないので」(安藤)。言われれば納得するが、あの勝利を決めた直後としては、違和感が残るぐらいに落ち着いていた姿勢も、確実にチームが成長しつつある証。おそらく我慢した“喜び”を爆発させるタイミングは、これから先の日々にきっと来るだろう。

 土のグラウンドを複数の部活で分け合い、公式戦で運営補助を務めた際に、各選手へ配られた“日当”をプールして購入した照明を使用している練習環境。それでも、新井が「グラウンドも広いので毎日練習もできるし、先生方も照明を付けてくれたり、結構練習をやれる時間もあるので助かっています。グラウンドが土でボコボコというのはあるんですけど、そこは自分たちの技術が足りない所なので、全然ハンデは感じていないです」と話せば、「グラウンドは結構広くて、野球部とサッカー部と陸上部、ラグビー部、女子サッカー部って全部一緒にできるんですよ。しかもその中でサッカー部が半面を貸してもらえていて、そこは他の部活に感謝していて、恵まれているなと思っています」と安藤も続けたように、置かれている環境に感謝こそ覚えても、それをハンデとして捉える彼らではないようだ。

 今大会の総括を問われた長山監督は、笑顔で「アイツらは1年生の時によく走らされてるので(笑)、ちょっとしたことには折れないようになってきているのかなって感じはありますね」と話してくれた。「狛江高校に入って、先生たちのおかげで『人間的にも成長できたかな』という想いはあります。正直凄く変わりましたし、自分がやらかしている場合ではないと思います」と言い切る曲木も頼もしい。『応援されない代』から『応援される代』へ。『やらかし世代』から『やれる世代』へ。いわゆる普通の都立高校に通う3年生の“135度”は、特別なようでいて、あるいはどんな高校生たちにも秘められている、無限の可能性の象徴なのかもしれない。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください