[プレビュー]“伝統”から抜け出すイングランドか、“伝統”に学び育ったスウェーデンか
ゲキサカ / 2018年7月7日 18時28分
[7.7 ロシアW杯準々決勝 スウェーデン(日本時間7日23:00)イングランド サマーラ]
4日前に行われた決勝トーナメント1回戦のコロンビア戦では、史上初めてPK戦を制したイングランド代表。得点ランキング首位を独走中のエースFWハリー・ケインを中心に、2強2弱のグループステージを悠々と勝ち抜いてきていたものの、ノックアウトステージの幕開けは決して華々しいものではなかった。
だが、チームの雰囲気は悪くなさそうだ。1996年欧州選手権でPKを失敗し、敗戦の責任を負ったガレス・サウスゲート監督が“鬼門”を乗り越えたという物語は共感を呼び、連帯がいっそう深まった。大会中に出産立ち会いをしたDFファビアン・デルフにまつわる“いい話”が漏れ聞こえてくるのも、集団を取り巻く前向きなムードがあるからこそだろう。
もはや恒例のように優勝候補の末端には名を挙げられるものの、8強という壁を乗り越えたのは過去たった2度しかない。母国開催で初優勝を成し遂げた1966年に続き、最後に4強入りを果たしたのは1990年とすでに28年前。平均年齢26歳未満の若い現代表チームにおいては、多くの選手が生まれる前の“歴史的記録”である。
だが、英国内ではこの『新生』感が希望を呼んでいるようだ。3-1-4-2を基本フォーメーションとした布陣は、外国人指揮官がプレミアリーグにもたらしたもので、過去の伝統との決別を意味するもの。バスケットボールをもとにしたセットプレー戦術、メンタルコントロール法を一新して臨んだPK戦など、新たな挑戦を探せば枚挙に暇がない。すなわち、勝てる機運は高まっているのだ。
対するは北欧の強豪スウェーデン代表。FWズラタン・イブラヒモビッチという強大なタレントが欠け、チーム力の最大値が低下したのは否めないが、それを上回ってあまりある組織力でここまで勝ち抜いてきた。欧州予選でオランダ、イタリアを葬り去り、本大会ではドイツ、メキシコを上回った“大物食い”の実績も心強い。
ヤン・アンデション監督が「1970年代に育ち、イングランドのサッカーを見てきた」と話すように、ソリッドな4-4-2フォーメーションは“母国の伝統”を彷彿とさせるもの。だが、左右へのスライドを怠らないゾーンディフェンスシステムは、決して古くさいものではなく、フィジカルに優位性を持つ『スウェーデン流』にしっかりと成熟させてきたようにも映る。
ベスト4進出ともなれば、1994年以来24年ぶりのこと。しかし、1958年は準優勝、1938年と1950年には4強入りも果たしており、W杯の戦績ではイングランドをも上回っている。“伝統”からの脱却を狙うイングランドか、母国の“伝統”に学び育ったスウェーデンか――。激しさあふれる好ゲームになるのは間違いなさそうだ。
■FIFAランキング
スウェーデン 24位
イングランド 12位
■対戦成績
スウェーデンから見て7勝9分7敗
■テレビ中継
NHK
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