[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:敗れざる者たちの明日(山口U-18・中山元気監督、福岡U-18・藤崎義孝監督、大宮ユース・村田耀)
ゲキサカ / 2018年8月10日 8時30分
今年の大宮ユースはキャプテンの吉永昇偉を中心に、特にチームの一体感を重視してきた。この大会は3人の3年生が負傷もあってメンバー外となったが、「その3人も含めてみんなが素晴らしい応援をしてくれたので、その人々の分まで頑張りたかったんです」と村田は話す。あの衝撃的な同点ゴールのシーン。彼が一番強く想っていたのは「3年生の最後の夏を終わらせたくない」ということだった。また、決勝進出を手繰り寄せる延長後半の勝ち越し弾をFKで叩き込んだ五百藏悠は、半年近い負傷離脱から戻ってきたばかりの3年生。タイトルには一歩及ばなかったものの、おそらくこの準優勝は彼らの一体感をより強固なものにしたはずだ。
村田に聞いてみた。「この夏は良い思い出になるかな?」と。得点を決めたゴールキーパーとして大会の歴史にその名を刻んだ17歳は、胸を張って答えてくれた。「中学3年の時の全国大会は1回戦負けで終わってしまって、自分はピッチに立てなかったんです。だから、個人でもあのゴールがありましたし、それも含めてこの準優勝は、たぶん10年後でも、20年後でも思い出したくなるような、凄く良い思い出になったと思っています」。
勝者が勝者でいられるのは束の間であるように、敗者が敗者であるのもまた束の間のことだ。“束の間の敗者”は、次の“束の間の勝者”となるため、あるいは勝者以上に前を向き、力強い一歩を踏み出していく。中山元気は、藤崎義孝は、村田耀は、そして彼らの選手たちや仲間たちは、明日の勝者となるために、きっと今日も夏空の下でサッカーボールと真摯に向き合っているに違いない。
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
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