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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:あの日、あのグラウンドで(山梨学院高・大石悠介)

ゲキサカ / 2018年8月14日 9時20分

 保坂紘生からのフィードが裏へ抜けた。DFのクリアへ懸命に体を投げ出すと、ボールはエリア内で自らの足元にこぼれる。「あの時は結構冷静に見れていました。ボールが自分の所にこぼれてきて、敵が寄ってきて、中の川野(大成)も見れて、純真も奥に見えていて、これぐらいでいいかなと思って」左足のアウトサイドで中へ送ったボールを川野がスルー。飛び込んできた宮崎のシュートはゴールネットを確実に揺らす。

「自分で決められたら一番良いんですけど、ウチのエースは純真なので、純真をどう生かせるかを考えて前へ行きました」と話した大石のアシストは、自らも「まあ右足蹴れないんで(笑) 左でしか蹴れないんです」と笑った得意の左足で。土壇場で追い付いた山梨学院は、延長前半5分に宮崎のクロスがオウンゴールを呼び込んで見事に逆転。最終ラインに戻った大石と、その彼が「本当に最高の相棒」と称する西澤が軸となり、桐光学園の攻撃を凌ぎ続けたチームは、劇的な展開で決勝戦を制し、夢にまで見た“一番高い場所”の景色を見ることになった。

「もう、本当に経験したことがないくらい嬉しかったですね。『こんなに嬉しいことがあるんだな』って思いました」と振り返った試合終了の瞬間。一目散に応援スタンドへ駆け出していった大石の姿が印象深い。そのことを尋ねると、きっぱりこう言い切った。「あの最高の応援がなければ絶対に勝てなかったので、そこが勝因かなと思っていますし、この勝利は自分たちだけのものじゃなくて、みんなで勝ち獲ったものなので、サポートしてくれた仲間とか親とか、そういう人たちに本当に感謝したいです」。

 あの日、あのグラウンドで涙を流していた中学生は3年後、そのすぐ隣のピッチで日本一のセンターバックになっていた。「縁ですね。素晴らしい縁に出会えて良かったなと。今大会がこの三重という開催地で良かったなと思います」。大石悠介にとって過去の苦い記憶を払拭し、新たな歓喜の記憶を刻み込んだ“三重の夏”は、きっとこれからも彼の人生を彩り続けることだろう。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校総体2018

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