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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:あの日、あのグラウンドで(山梨学院高・大石悠介)

ゲキサカ / 2018年8月14日 9時20分

 永遠にも思える長い長いアディショナルタイムも消え去り、ようやくタイムアップの笛が聞こえる。「まだ優勝していないですし、優勝が目標なので何とも言えないですけど」と前置きした大石も「人生で一番を争うくらいの嬉しさがありました」と笑顔を見せた優勝候補撃破。チームは次のラウンドへと駒を進める。

 続く3回戦の高川学園高戦。再び大石にはどうしても勝ちたい理由があった。「中学3年の時に三重で戦った東海大会で負けたのが、鈴鹿の第2グラウンドだったんです。だから、県予選に勝って全国の組み合わせが決まった時に、3回勝つと第2グラウンドに戻れるって聞いたので、『絶対3回勝って、第2グラウンドに帰る!』と思っていました」。PK戦までもつれ込んだ熱戦は山梨学院に軍配が上がり、見事に全国で『3回勝った』大石は中学最後のゲーム以来となる、鈴鹿の“第2グラウンド”へと舞い戻る。

 8月11日。全国4強を懸け、3年ぶりに訪れた思い出のグラウンド。さらに大石にとって、対戦相手となった日章学園高は「中学2年の時に出た全中で負けた相手」でもあったという。「もう“日章”と“第2グラウンド”が揃って、これは負けられないなと思った」因縁渦巻く準々決勝。2度のビハインドを背負った山梨学院は、その2度とも執念を見せて追い付くと、後半28分に宮崎が勝ち越しゴールを叩き込み、この日初めてとなるリードを奪う。

 後半のアディショナルタイムはまたも8分。キャプテンの西澤が「こういう時間はこの大会が初めてなので、『ちょっと意味わかんないな』と思いました」と笑った時間も、丁寧に丁寧に消し去りつつ、35+7分には相手の決定的なFKを市川隼がビッグセーブ。失点を許さない。すると、市立船橋戦に続く長い長い8分が経過し、山梨学院の勝利を告げるホイッスルが“第2グラウンド”に鳴り響く。「ずっと『ここに戻ってきたいな』と思っていて、日章にも借りを返せて、あのグラウンドにも借りを返せたので、本当に良かったなと思います」。2つの借りはきっちり返した。あとは、みんなで誓った一番高い場所へ。

 その時、大石は「負けても勝っても悔いは残したくなかったので、もうやるしかない」と覚悟を決めていた。8月13日。“第2グラウンド”のすぐ隣にある鈴鹿メイングラウンド。桐光学園高と激突する、夏の日本一へ王手を懸けたファイナル。前半に奪われた1点を跳ね返せないまま、後半も最終盤に差し掛かったタイミングで、山梨学院のベンチはこの大会を通じて空中戦に威力を発揮してきた大石に、最前線へ上がるよう指示を送る。アディショナルタイムは、またも8分。初めてビハインドの状況で目にした “8”の数字。ただ、3番を背負った急造フォワードは不思議と落ち着いていた。

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