[MOM543]IPU・環太平洋大FW赤木直人(3年)_中国リーグ10戦28発、名に恥じない2ゴール
ゲキサカ / 2018年9月1日 11時30分
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.31 第42回総理大臣杯1回戦 常葉大 2-3 IPU・環太平洋大 万博記念競技場]
主将のDF平松遼太郎(4年=青森山田高)が「彼にボールを出すと何かしてくれる」と信頼を寄せるように、FW赤木直人(3年=飛龍高)にボールが入ると、チャンスの匂いが漂う。持ち味である推進力を活かした突破と振りの速さを活かした左足シュートは高校時代の先輩であるセレッソ大阪のFW澤上竜二と同じ系統の選手で今季、中国リーグでは10節を消化した時点で28ゴールと量産している本格派の点取り屋だ。
「決定力が上がって、下位のチームからは3点以上獲れている。今日みたいな自分たちよりも強い相手にどれだけ点を獲れるかが今後に繋がってくると話していた」と桂秀樹監督にハッパをかけられ挑んだこの日はまず前半32分に一つ目の仕事を果たす。左サイドからDF林龍正(2年=希望が丘高)が上げたクロスは右ポストに当たると、反対サイドのDF土居晃貴(3年=玉野光南高)が高い位置でセカンドボールを回収。すぐさまゴール前の赤木にボールが渡ると、赤木は冷静にフェイントでDFをかわし、先制点をマークした。
後半10分にはFW田中翔(3年=佐賀東高)が加点したが、そこからは2失点。試合終盤には差し掛かり、再リードを奪うために攻撃の選手が次々に代わった中でも桂監督が赤木を残したのは左足での一発にかけていたからだ。前線からの守備もこなしていたため、赤木は体力の限界を迎えていたが、「これで代わるのはダサい。意地でも最後まで試合に出ようと思っていた」とストライカーの意地で最後まで戦い続ける覚悟を決めていた。
ただし、これまでの時間帯のように低い位置から強引な突破に持ち込むのは難しい。選んだのは「中盤に落ちても何もできない。前線でボールを待つしかない」という選択肢だったが、結果的にはその決断が奏功する。後半アディショナルタイム2分に、PA右で待ち構えた赤木に、MF曽田一騎(1年=大社高)のロングフィードが渡ると、対応が遅れた相手DFの隙を突いて、左足シュートをお見舞い。意地の一撃が決まると同時に、足をつっていた赤木はピッチに倒れ込んだ。エースの名に恥じない2ゴールで再び勝ち越すと直後にタイムアップ。劇的な展開で2回戦行きのチケットを手にした。
入学一年目はセカンドチームに当たる社会人リーグでプレーしたが、2年目の昨年はAチームで出場機会を掴み、今年2月にはデンソーカップに挑む中四国選抜のメンバーにも選ばれた。ストライカーとして確かな素質を持つだけでなく、今年に入ってからは精神面での成長も著しく、主将の平松はこう評する。「今年に入ってから、自分がチームを勝たせようという気持ちを感じる。サッカーに対する取り組みも変わってきて、これまで無かった『もっとこうしよう。こんなんじゃ、ダメだぞ』といった声が出るようになった」。
2回戦で当たる明治大は守備の堅さが売りで、初戦以上にゴールの難易度は高いが、赤木ならば歓喜を呼び込む可能性は十分にある。「できれば次もゴールでチームに貢献したいし、勝ってドンドン上に行きたい」と意気込みを果たせるか注目だ。
(取材・文 森田将義)●第42回総理大臣杯特集
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