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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:Here Comes The Sun(FC東京U-18・芳賀日陽)

ゲキサカ / 2018年10月19日 16時34分

 攣り掛けていた両足は、ほとんど限界に達していた。ただ、この状況で戦場を去る訳にはいかない。「監督からも『替わるか?』って言われたんですけど、自分はまだ替わりたくなかったので、『最後までやってから替わります』と言ったら、監督も受け入れてくれて、後半も出してくれたので感謝したいです」。最後の10分間へ気持ちを奮い立たせる。

 延長後半2分。中盤でのルーズボールへ誰よりも早く反応した芳賀は、そのままエリア内までドリブルで運ぶと、外で待っていた鈴木に託す。レフティのクロスは鋭くニアへ飛び、突っ込んだ寺山のヘディングがゴールネットへ突き刺さる。諦めなかった“3年生トリオ”の意地が実を結ぶ。「あそこで止められなかったら、また相手の攻撃が始まるので、その一瞬のパワーを掛ける所はU-23でも経験してきた所で、それがやっと出せたかなと思います」。シュートの、クロスの、1つ前。こぼれ球に食らい付き、必死に収めたワンプレーに、芳賀が求めてきた“戦う所”が凝縮されていた。

 2年生の宮田和純に後を託し、芳賀はベンチへ下がる。3年生の高橋亮がクローザーとして投入される。2分のアディショナルタイムも消え去り、青赤の勝利を告げるホイッスルが夜空に吸い込まれる。「3年生がなかなか出ていない時期もありましたけど、3年生の3人でゴールが取れたというのは一番嬉しかったです。自分がこぼれ球を拾って、点に繋がったので最高でした」。そう言葉を紡いだ10番の瞳と長い睫毛が、少し濡れていたように見えたのは気のせいだっただろうか。

 自らの意識の変化を、芳賀はこう口にする。「最初は『上手くやってやろう』という甘い考えでシーズンに入って。でも、『それだけじゃだめだ』と気付かされて、“上手い、かつ戦える選手”じゃないと上には行けないので、1つ1つの球際だったり、セカンドボールの拾い合いに勝って、それでチームを勢い付かせることを意識していますし、目立たないかもしれないですけど、そういう部分により一層強い意志を持ってやっています」。

 佐藤監督も彼の変化を独特の言い回しで表現する。「いよいよ危機感を持ったら、ある意味で本質的になって、力が引き出されてきたかなという所では、やっぱり精神的に少し成熟してきたなと。アイツは『ミスター機動力』ですから(笑)、ようやく“良いマシン”を持っていたドライバーが、小学生から高校生になってきたのかなと思います。心が少しずつ整ってきたんでしょうね」。

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