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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:オレたちの“応援リーダー”(駒澤大高・小林慎治)

ゲキサカ / 2018年10月30日 21時28分

「自分でもあんなふうになるとは思わなかったんですけどね」と小林が振り返れば、「スタンドがあんな感じになるとは思ってもみなくて、こっちの想像を上回るくらいでした」と亀田コーチも笑顔を浮かべる。開始早々からワンプレーごとに、赤黒の応援団は地鳴りのような歓声を巻き起こす。「試合の入りで自分たちの流れに持っていきたい気持ちがあったので、最初にああやって行けたことで、それを続けていこうと一気にみんなでやりました」。“応援リーダー”を中心に200の声という声が、グラウンドの空気を支配していく。

 前半15分に先制。2分後に追い付かれたものの、「本当に応援が凄かったので、アレが自分たちの支えになりました」と強調したキャプテンの齋藤我空(3年)を中心に、ピッチの選手たちの勢いは衰えない。後半4分には原田大渡(2年)が勝ち越しゴール。10番を背負った殊勲の2年生ストライカーも「3年生にも同級生にも応援してもらって、凄く温かみを感じたというか、『応援されてるな。自分もやらなきゃ』みたいな感じが出てきて、苦しい時は応援の方を見てやっていました」と明かす。

 その2点目のシーン。マジメな“応援リーダー”は自らの力不足を感じたという。「1点目の時に応援のメンバーがピッチに入っちゃって、それで怒られたので、2点目の時は止めようとしたんですけど、全然止め切れなくて… そこは自分が責任を取るしかないので仕方ないです」。少し意地悪なことを聞いてみた。「でも、実際は『まあ別にいいか』って思ったんじゃない?」。小林が即答する。「はい。勝てるなら怒られるぐらい全然いいと思ったので(笑)」。どうやら今年の“応援リーダー”は、ただただマジメな訳でもなさそうだ。

 勝ち越してからも、駒澤大高は確実に時間を潰していく。ヒートアップするスタンドと、冷静にゲームを運ぶピッチとの対照的な色合いが、彼らの纏う赤と黒に混じり合う。「ラストは『みんなでやり切るくらい声を掛けよう』って言っていた」応援団が、改めてワンプレーごとに強烈な圧力を相手に浴びせ続け、「絶対西が丘に行きたいという気持ち」を携えたキャプテンを筆頭に、選手はピッチを走り続ける。

 アディショナルタイムも消え去り、タイムアップを告げるホイッスルが薄暮の空に吸い込まれる。「応援メンバーの中にも泣いているヤツがいて、『本当に泣ける試合だったな』という気持ちもあったし、終わった瞬間はホッとしたというか、自分も感動してちょっと泣きました」とは小林だが、気付けばピッチで80分間を戦い抜いた齋藤も細川も泣いていた。

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