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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:オレたちの“応援リーダー”(駒澤大高・小林慎治)

ゲキサカ / 2018年10月30日 21時28分

「ほとんどこちらが何も言わなくても、今日までも自分たちでやってくれていましたし、応援歌を歌えない中で、あれだけの温度を会場に創ってくれたんですからね。チームでどうやって応援団から力を与えるかを、彼は考えてくれていて、よく人を動かしてやってくれたんじゃないかなと思います」と亀田コーチ。「やっぱり勝ったら嬉しいです。うん。嬉しいです」。同じ言葉を2度重ねた小林にとってはこの一戦が、“応援リーダー”に就いてから初めて手応えを感じる舞台になったようだ。

 そもそも小林の役割を知るキッカケになったのは、試合後に大野祥司監督が「応援も今年は全然まとまってなかったんですよ。それで小林慎治というT1にいた子に『応援リーダーをやってくれ』って言ったら、その子が素晴らしい子なので全部やってくれて。もしできるならインタビューしてあげて欲しいですね」と話した一言だった。

 現れた小林に話を聞いてみると、「本当に人格者だと思います。こっちが尊敬できるようなレベルで。凄い子だと思います」と言い切った亀田コーチの言葉にも頷ける人間性は、すぐに透けて見えてきた。とはいえ、本人にもちろん“選手”としての自分を諦めたつもりはない。「実際に“選手”としてインタビューされないのは悔しいですし、こっちの立場でインタビューされるのは本当に悔しいですけど、こうやってチームが勝てば次にチャンスもある訳ですし、そこはチームのためにという気持ちでやるしかないと思っているので、正直悔しい所はありますけど、切り替えてやっています」と素直な想いも口にする。

“選手”としても、“応援リーダー”としても、常に100パーセントの“温度”で、その時の自分と向き合ってきたからこそ、小林は自らを取り巻くあらゆる人々から信頼を置かれる存在になってきたのだろう。ここからの選手権に向けて自身の担うべき役割を問うと、一瞬間を置いて、こういう答えを返してくれた。「もしメンバーに入れたら、逆に応援メンバーの気持ちもわかる訳ですし、そういう所の気持ちも汲み取って、本当に死ぬ気で頑張りたいと思いますし、もしメンバーに入れなくても、そこは切り替えて、本当に中の選手のために一生懸命やりたいですね。『チャンスはある』と言われているので、自分もめげずに頑張ります」。

 あるいは次の西が丘。あるいは次の次の駒沢陸上。あるいはその先の全国大会。もし小林がピッチへ立つことになれば、応援団はどれだけの声援を自分たちの“応援リーダー”に送るのだろうか。「どうしよう。シンジがメンバーに入っちゃったら」と笑った亀田コーチの懸念が、小林の存在感の大きさを改めて如実に物語っている気がした。

 すんなりと受け入れられた訳じゃない。今だって割り切れない想いはずっと抱えている。でも、自分の果たすべき役割はまっとうしたい。それが3年間のすべてを注ぎ込んできたチームの、3年間を共に過ごしてきたみんなのためになるのなら。200人を優に超える駒澤大高の大応援団を束ねている小林慎治は、その場所がスタンドでもピッチでも、常に100パーセントの“温度”で自分と向き合っている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校選手権2018

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