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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:“2番目”に最高の思い出(都立国分寺高)

ゲキサカ / 2018年11月13日 15時12分

 高校総体の支部予選。同じ国立駅が最寄り駅。そこから北へ進む国分寺に対し、南に位置する都立国立高のグラウンドで同校と対戦した2回戦は、1点のビハインドを最後まで跳ね返すことができず、「為すすべなく普通に完封負け」(石原)。4月の時点で3年生に残されたトーナメントの大会は、最後の選手権予選だけになってしまう。

 この前後。チームの雰囲気は最悪に近かった。「ミーティングしても、とにかくヤバかったです。『どうすんの、この先?』『こんなとこで負けてたらマジでやってられなくね?』みたいな」と石原。3年生マネージャーの小松明日香も「みんなもその空気を感じていたし、私でさえ感じていたから、『どうなっちゃうんだろう?』って。本当に怖いなと思いました」と当時を思い出す。半年前に掲げたはずの『西が丘へ』という目標は、彼らの視界の先で遠く霞み、ほとんど見えなくなりつつあった。

 キャプテンの栗原は小さくない責任を感じていた。「僕は本当にキャプテンって柄じゃないんですけど、この代にあまりそういう人がいなくて… 自分が頼りない分、みんなに『キャプテンに頼っちゃダメだ』というのはあったと思うんです。いろいろ問題が発生して、うまく行かない時期があって、本当にそれはみんなもツラかったと思います」。窮地になればなるほど、組織も人も少しずつ本音が建前を上回っていく。「もう何回もチームを壊して、イチから作り直すという考えで、みんなで意見をケンカみたいな感じで言い合っていました」と栗原。様々な問題を内包しながら、48期は負けたら終わりの“真夏の選手権”へと突入する。

「本当に一発勝負」(元木監督)の1次予選。初戦はまだ蝉の鳴き声響く8月16日。3年間の汗が染み込んだホームグラウンドで、都立杉並総合高を3-1で下すと、立正大立正高には4-0で快勝。最後は都立石神井高にも2-1で競り勝って、2年連続となる2次予選への進出権をもぎ取ってみせる。元木監督が「国分寺の伝統で、インターハイが終わって3年生に『どうする?』なんて話は全然しないです。夏の合宿もみんなで行って、最後まで戦おうというのがウチなので」と語ったように、国分寺は基本的に3年生も選手権が終わるまで“現役”を続行する。彼らの引退は少なくとも2か月は先送りとなった。

「練習やって、そのまま塾に行って死にかけたりとか(笑) でも、周りはもう部活がない中で勉強をやっているので、どうしても焦っちゃって」と石原も苦笑するが、指揮官もこう言及する。「我々のようないわゆる進学校は、10月半ばの2次予選に向けて、特に試合に出られない子たちがモチベーションを保つのはキツいんですけど、誰もやめずにみんなで残ってやってくれた所も、このチームを成長させてくれたのかなと」。サッカーと勉強と。両輪をフルパワーで駆動させる。みんなわかっているのだ。もうこの日々がそう長くはないことを。この時間が永遠ではないことを。

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