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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:“2番目”に最高の思い出(都立国分寺高)

ゲキサカ / 2018年11月13日 15時12分

 試合が終わってから1時間は経過していただろうか。全体でのミーティングが終わると、48期だけが再び集められる。監督、コーチ、トレーナー。スタッフ1人1人が挨拶していくあたりに、“最後”の雰囲気が増幅されていく。熱いコーチが涙ながらに語るメッセージに、彼らの涙腺も刺激される。ある教員のスタッフが言葉に詰まりながら贈った言葉が印象深い。「この仕事をしていて心掛けているのは、“最高の思い出”を作らせないことだ。君たちの人生には、必ずまた“最高”のことが待っている。だから、今が“最高”だと思うだけではなく、またいつかやって来る“最高”の時のために、これからの毎日毎日をしっかり過ごすことが大事なんだ」。多少の違いはあっても、こういう趣旨の話だったと記憶している。『西が丘』を経験したばかりの彼らには、あるいはピンと来ない話だったかもしれないが、その意味を理解する日が、彼らの未来にはきっと来るだろう。

“最後のミーティング”が終わり、スタッフや保護者も交えて『記念写真』を撮る頃には、48期の面々もすっかり笑顔を取り戻していた。栗原と石原、小松の3人にはその後に話を聞いている。栗原はポツポツと言葉を紡ぎ出し、石原はテンポ良く喋っていく。その対照的な性格にも笑ってしまう。小松と向き合った時には、もう辺りもすっかり夕闇に包まれていた。突然の指名に少し戸惑いながら、丁寧に重ねてくれた会話も終わろうとした時。彼女はこんなエピソードを教えてくれた。

「私、本当は今日ベンチに入らない予定だったんですけど、部員みんなが話し合って、先生に言ってくれて、ベンチに座れたんです。それが本当に嬉しかったし、本当になんかもう、日々感謝していて、最後の最後まで迷惑掛けたけど、本当にありがとうって言いたいです。本当に楽しかったです。みんな本当にカッコいいし、誇りに思うなって。本当にこの代のマネージャーで良かったなって思いました」。そう言い終わった小松は、足早に仲間の元へ走り去って行った。48期の3年間を窺い知ることのできる、これ以上に素敵な言葉があるだろうか。

 高校を卒業すれば、それぞれにそれぞれの道を歩み出す。良いことも悪いことも、楽しいことも悲しいことも、きっとあるだろう。それでも、彼らは新たな“最高”に出会う必要がある。なぜなら、それぞれの未来で、それぞれの“最高”を見つけることが、3年間の素晴らしい時間を共有した仲間への恩返しであり、惜しみなく愛情を注ぐことで3年間の彼らをサポートしてくれた、『記念写真』の中で微笑む大人たちへの恩返しになるからだ。

 ピッチで、ベンチで、そしてスタンドで。それぞれの立場で『西が丘』まで辿り着いた3年間を、キラキラ輝くようなみんなとの3年間を、“2番目の思い出”として大事に大事にとっておけるような新たな“最高”に出会える日々が、国分寺高サッカー部48期のこれからに待っていることを願ってやまない。

“聖地”西が丘は、都立国分寺高48期の選手たちの「“2番目”に最高の思い出」に


■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校選手権2018

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