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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:うたかたの夢(帝京高・三浦颯太)

ゲキサカ / 2018年11月24日 7時34分

「夏の合宿はいつもヤバかったですけど、特に今年は結構エグかったです」と苦笑交じりに思い出す暑い季節を経て、高校最後となる選手権がやってくる。初戦は都立高島高に5-0と快勝を収め、西が丘へ王手を懸けた準々決勝の相手は堀越高。三浦はいつも以上に気合を漲らせて、ゲームに臨んでいた。ワンプレーごとにチームメイトへ厳しい声を浴びせ続ける姿は、周囲から浮き立って見えるほど。だが、本人もそれは自覚していた。「みんなが緊張していたので、もう一人だけ声を出して、『浮いてるぐらいやらなきゃな』って思っていました」。

 1点リードして迎えた追加点のチャンスに、中央へのパスを選択せず、シュートを放った選手には怒気をはらんだ指示を飛ばす。「関東大会予選で負けた駿台学園戦に似ていて、前半に1点決めて『行けるんじゃないか』みたいな雰囲気があったので、また同じことをしないようにというのと、練習でもチームで『100パーセントを選べ』とやっているので、『もっと落ち着け』って言いました」。頭は冷静に。心は熱く。周囲から見えている以上に、その2つのバランスはしっかり取れていた。

 後半25分には石井隼太のFKにヘディングで合わせ、ポストを叩いたボールがゴールネットへ転がり込む。「あの形は今まで1年生から4,5回決めてるんですけど、全部オフサイドになっていて(笑) 公式戦であの形で初めて入りました」と笑わせながら、自身の変化についても言及する。「中学生の時もそんなに怒鳴るタイプではなかったですけど、今年はやっぱり去年や一昨年より全国に出たい気持ちが何倍も強いので、それが形になっているのかなって思います」。

 堀越に2-1で競り勝った帝京は、東京朝鮮高との準決勝も2点を先行されながら、後半だけで4点を奪い返し、ファイナルへと駒を進める。しかも三浦はチームの1点目、2点目、3点目を1人で記録。自身3度目の西が丘で圧巻のハットトリックを達成し、チームを逆転勝利に導いてみせる。「自分はこんなに大事なゴールを決めたの、初めてなんですよ。ハットトリックも高校に入って初めてです。だから素直に嬉しかったです。やっちゃいましたね(笑)」。試合後の通路で、帝京の黄金期を知る荒谷守アドバイザーがこう呟く。「今のウチは三浦がやってくれるかどうかだよね」。再び辿り着いた駒沢陸上競技場。勝つか、負けるか。たった2つの結果が天国と地獄を残酷に分かつ、最後の1試合がやってくる。

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