『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:うたかたの夢(帝京高・三浦颯太)
ゲキサカ / 2018年11月24日 7時34分
日比監督はこの3年間を共に戦ってきた三浦について、こう語っている。「彼は本当にフットボーラーとしてもう1個も2個もレベルの高い所に行ける素材はあると思うんです。でも、その素材を生かせるか生かせないかは、今後のアイツの努力の部分ですよね。時間を掛けて一緒にやってきた分、優勝させてあげて、全国大会の舞台に連れていきたかったですけど、そうは簡単にやらしてくれなかったですね」
久しく全国の舞台から遠ざかっているとはいえ、やはり帝京という看板の重さは、背負った彼らが一番実感していたことだろう。それゆえに1年から躍動してきた三浦が抱えるプレッシャーも、並大抵のものではなかったことは容易に想像できる。だが、望んだ結果は手に入らなかったかもしれないが、最後の1年間で見せたほとばしるような気迫や執念は、それまでの彼に最も求められていたものではなかっただろうか。「この経験はたぶんずっと忘れないと思うので、何が足りなかったのかよく考えて、しっかり自分を見つめ直して、また大学で成長できたらなと思います」。そう口にして、カナリア軍団の8番は通路の向こう側へ見えなくなった。
何度も浮かんでは、そのたびに儚く消え、何度も届きかけては、最後まで届かなかった“うたかたの夢”。その残像を自らに刻みつつ、三浦のサッカーと生きる道はまだまだこの先へ伸びていく。そして、あるいはその行方に長く深い暗闇が待っていたとしても、きっと“うたかたの夢”を追い求める3年間で身に着けた強く逞しい光が、三浦の行く末を明るく照らしてくれることだろう。
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
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SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
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