『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:プレッシャー(前橋育英高・若月輝)
ゲキサカ / 2018年11月28日 13時17分
この頃はまだ若月も仮のキャプテンを託されていた時期。「正式にキャプテンをやりたい気持ちはあります」と秘める決意に、「去年のキャプテンが凄すぎて、1個上の先輩には見えなかったですし、『人として尊敬する』感じなので、自分はそこを目標に頑張りたいと思っています」と言葉が続く。圧倒的なリーダーシップでチームを束ね、全国の頂点へと導いた田部井涼(現・法政大)の背中も思い浮かべつつ、既に重責を担う覚悟は整っていた。
ところが、県内最大のライバルとして鎬を削っている桐生一高との決勝は、相手が開始早々に退場者を出したにもかかわらず、0-1で敗れてしまう。「新人戦で負けた時も『選手権優勝の前橋育英敗れる』みたいに書かれたので、『世間から見たらそう見られるんだろうな』と自覚しないといけない部分もありましたし、今年は今年で違うという部分も意識した上で、去年優勝したプレッシャーも抱えながらやっていかないといけないかなと思いました」と若月。ほとんど主力が入れ替わったことで、『今年の代は今年の代』と考えていたが、この新人戦の敗戦は、彼らが『日本一を勝ち獲った次の代』であることを改めて突き付けられる機会となった。
4月。新入生も加わり、気持ちも新たに向かう新年度。プリンスリーグ関東がスタートすると、またもやタイガー軍団は逆境に立たされる。まさかの開幕2連敗。「メンタル的にもみんなやられてしまって、正直自信を失っていたというか、『どうやったらオレら勝てるんだ?』と落ち込んでいた時期でした」。若月もキャプテンといち選手としての狭間で揺れていた。「チームどうこうよりも、『自分はどうしたらいいんだろう?』とも感じていたんです」。ここでも“前チーム”の幻影が彼らを苦しめる。
こういう状況での特効薬は結果しかない。背水の陣で臨んだプリンス関東第3節。このゲームで山梨学院高相手に何とか白星を手にすると、続く川崎フロンターレU-18戦にも勝利を収めて2連勝。ようやく光が見えてくる。今から考えると、2018年でも一番苦しかったこの時期に、チームは2つのことを悟った。1つは「やっぱり去年と今年は違う」ということ。もう1つは「やっぱり今年の目標も日本一とプレミア参入だ」ということ。「結果としては良くなかったですけど、自分たちが成長するキッカケになったのかなと思います」。若月は“生みの苦しみ”だったと、その時をポジティブに思い出す。
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