『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:決断(青森山田高・天笠泰輝)
ゲキサカ / 2018年12月3日 21時20分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
あの日の決断は正しかったと信じている。だから何より結果で示したかった。それでも、決着の付かなかった180分を経て、積み上げた日々に対する手応えは、自身の内側へ確かに残っている。「自分がこっちに来て成長したことを現わせるのはピッチだけだと思うので、あまり結果とは繋がらなかったですけど、『自分もここまで成長したんだぞ』みたいに少しは現わせたかなと思いますね」。いよいよ雪の季節が訪れた本州最北端のグラウンドで、天笠泰輝の3年間は集大成に差し掛かっている。
11月25日。青森。シーズンも佳境に入ってきている高円宮杯プレミアリーグEASTは、まさに大一番を迎えていた。ここまで無敗で2位に付けている青森山田高と、首位を快走してきた鹿島アントラーズユースの直接対決。両者の勝ち点差は4。アウェイチームが勝利を収めれば優勝が決定する90分間に、並々ならぬ決意で臨む1人の男がいた。
「高校に上がる時に青森山田か、鹿島アントラーズか、という選択になって、どっちにも練習参加したんです」。今から遡ること3年前。群馬県の3種でも強豪として知られる前橋FCでプレーし、周囲からの注目を集めていた天笠泰輝は決断を迫られる。高校サッカー界の名門であり、多くのプロ選手を輩出している青森山田か。Jリーグでも屈指の実力を有するビッグクラブの下部組織であり、毎年の様にトップ昇格者を生み出している鹿島ユースか。まったく毛色の違う2つのチームが、最終的な進路の選択肢となった。
その年の夏。天笠は3泊4日分の荷物を詰め、群馬から鹿島ユースの合宿に参加する。「その時に今のアントラーズユースからは結城、佐藤、翔悟が来ていましたし、他にも市船の岸本と流経の猪瀬も一緒に参加していて、そこで仲良くなったんです」と当時を振り返る天笠。佐々木翔悟、岸本駿朔、猪瀬康介はアントラーズつくばジュニアユースから、結城将貴は岩手から、佐藤隆曉は山形から、それぞれ鹿嶋の地へ集まってきていたが、バックボーンこそ違えども志を同じくする者同士はすぐに打ち解ける。
「アントラーズは少人数じゃないですか。その分だけ本当に仲良くしてくれて、自分は外部から行ったんですけど、トップに上がった田中稔也くんも群馬繋がりで仲良くなりましたし、キーパーの沖悠哉くんも良くしてくれましたし、短時間でもずっと繋がっている関係になったと思います」。大事な友人もできた。チームの雰囲気も素晴らしかった。環境だって申し分がない。
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