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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:“42+3”の責任(東京ヴェルディ・柴崎貴広)

ゲキサカ / 2018年12月11日 12時5分

“試合に出られない苦しみ”は何となくイメージが湧くが、“試合に出る苦しみ”はまさに当事者にしかわからないものだろう。その上で充実した日々を送っていることは、会話が進むにつれて十分に窺えた。プレーオフに向け、改めて意気込みを問う。「前節あたりからプレーオフのつもりでやっていたので、それこそそのプレッシャーを楽しみたいですね。今日も終わった後はさすがにウルッと来ましたけど、まだ次があるので、そこまで大粒の涙は取っておきたいと思います」。冷静な語り口と、秘められた熱さのギャップ。この日の柴崎の雰囲気は今でも強く記憶に刻まれている。

 11月26日。J1昇格プレーオフ準決勝。5位のヴェルディと4位のアビスパ福岡が激突する一戦は、アビスパのホームスタジアム改修を受け、熊本のえがお健康スタジアムで開催される。このゲームにもスタメンでピッチに送り出された柴崎が「立ち上がりからバタバタしちゃいましたね」と振り返ったヴェルディは、前半14分に失点を喫して最低でも2点が必要な展開に。以降も懸命に攻め立てたものの、ゴールは奪えない。「向こうの方が大人だったんじゃないかなって。安定していたし、ウチが攻めてもそこまで焦っている感じもなかったので」と柴崎。ファイナルスコアは0-1。アビスパが次のラウンドへ駒を進め、ヴェルディの2017年シーズンは1年を通じて最も遠い“アウェイ”の地で幕が下りた。

 ミックスゾーンに現れた正守護神は、いつも通り淡々と質問に答えていく中で、ゲームの振り返りから、シーズンの振り返りへと流れが移ると、チームへの想いが滲み出る。「いろいろな方たちから開幕前はヴェルディを評価していただけていなかったので、そういう人たちに向けても良いアピールができましたし、『そうじゃないでしょ』という所をちょっとは見せることができたのかなと思います。サポーターの皆さんには、『今年は悔しさで終わると思うんですけど、来年に喜びはとっておいてください』と伝えたいです」。

 自身の1年にも勝敗とは別の手応えを感じていた。「最後にJ1へ上がれれば一番良かったですけど、充実した部分の方が大きかったです。全試合に出なくてはわからない苦しみやプレッシャーも経験できましたし、出れない苦しみはずっと味わってきた中で、自分は一応“遅咲き”だと思っているので、なかなかJリーグの中でも経験できるチームの少ないプレーオフで得たものを、これからに生かしていきたいですね」。さらに続けた言葉が印象深い。「どうしても人間は欲張りだと思うので、『またいろいろな“景色”を見たいな』と。そのためには成長し続けなくてはいけないので、少し休んでまた頑張っていきたいなと思います」。新たな“苦しみ”と、新たな“景色”を知った柴崎はさらなる成長を誓いつつ、充実のシーズンを締め括った。

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