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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:同志(清水エスパルスユース・天野友心、梅田透吾)

ゲキサカ / 2018年12月17日 18時41分

「エスパでは6年間ですけど、小学校の頃も5年生から県のトレセンで一緒だったので、8年間やってきているんです」と天野が話したように、2人の付き合いはエスパルス以前まで遡る。ジュニアユースへ加入した段階では天野が一番手で、梅田が二番手という構図。「中学の時は自分の方がちょっと上に立っていた部分があったと思います」(天野)「ジュニアユースの頃はアイツがずっと出ていたので、正直諦めていた部分もありました(笑)」(梅田)。2人とも率直に当時を振り返る。

 ユースへの同時昇格はタイミングの妙もあった。その頃は清水ユースが静岡県リーグへの参入を予定していた時期で、必然的にゴールキーパーの頭数が必要になる。彼らが一定以上の実力を有していたことは言うまでもないが、神奈川から単身で清水ユースへ加わり、今年のキャプテンを務める齊藤聖七も「『キーパーは基本1人』とユースへ入る前に説明もされていたので、2人もいて『ああ、凄いな』とビックリして。だから『異例なんだな』と思いました」と語った通り、天野と梅田が“特別な2人”だったことも、また確かなようだ。

 ただ、お互いの立ち位置は少しずつ変化していく。1年時の高円宮杯プレミアリーグで早くも開幕戦からベンチに入り、最終節の市立船橋高戦ではスタメンにも抜擢された梅田に対し、県リーグを主戦場に置いていた天野にAチームでの出場機会は巡って来ない。2年に進級してからも、FIFA U-17ワールドカップへ臨む日本代表メンバーに招集されるなど、周囲の注目を集め始めていた梅田がレギュラー。「サブに回って、でも良いプレーができなくて、アピールできなくて、ずっと悔しい時期もありました」と天野も自らの感情を思い出す。

 ジュニアユース時代を考えれば、天野の心中は察して余りあるが、齊藤は2人についてこう口にする。「キーパーはポジションが1つで、同じ代に2人いたらどっちかが出られないじゃないですか。そういう争いがあるのにもかかわらず、あの2人は常に仲が良くていつも一緒にいますし、天野も本当にいいヤツなので、自分のツラい気持ちも隠して、透吾に『行って来い』とか言ったりするんです。その姿を見ていて『スゲーな』って思いましたね」。

 昨年のプレミアリーグ終盤戦。優勝争いを繰り広げていた残り4試合というタイミングで、梅田が負傷離脱したことにより、とうとう天野に出番が回ってくる。ところが、2試合連続で完封勝利を飾ったものの、その年唯一の“日本平”開催だった青森山田高戦は壮絶な撃ち合いの末に4-4のドロー決着。タイトルの懸かった最終節も柏レイソルU-18に敗れ、チームは優勝を逃がしてしまう。さすがに天野もこの結果は堪えたが、周囲は彼の想いを十分にわかっていた。「2年の終わりに公式戦に出させてもらったのに、負けてしまうことが多くて、自分の実力に自信を無くしたりしたんですけど、それでも透吾も含め、チームのみんなが励ましてくれたり、バスや電車の行き帰りもみんなで一緒に楽しくやってくれました」と天野。そして、エスパルスのアカデミーで過ごすラストイヤーの“6年目”がスタートする。

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