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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:同志(清水エスパルスユース・天野友心、梅田透吾)

ゲキサカ / 2018年12月17日 18時41分

 12月9日。Jユースカップで全国準優勝に輝き、1週間前にリーグ無敗を続けていた青森山田に土を付けた清水ユースは、プレミアリーグ最終節を迎えていた。「『3年生の最後の試合だ。楽しもう』というのが強かったですね」とは梅田。先発には10人の3年生が顔を揃える。メンバー表の一番上に書き込まれた名前は天野。自身にとっても1年ぶりの“日本平”に気合が入る。「スタッフを含め、こうやってプレミアの最後にここでのゲームをコーディネートしてくれた方々に本当に感謝したいです」。万感の想いを携えて、最後の1試合の幕が上がる。

 やや3年生たちの動きが硬い。徐々に富山一高に押し込まれる展開を強いられると、前半22分には決定的なピンチが訪れたが、天野が懸命のファインセーブで弾き出したあたりから、ゲームの流れが変わる。前半30分。3年生の佐塚洋介がクロスを上げ切り、飛び込んだ3年生の東駿が豪快なヘディングをゴールネットへ突き刺した。1-0。きっちりリードを奪って、後半へ折り返す。

 “16” と“1”。あの夏の日と同じ番号が第4審の掲げるボードに表示される。「相手にとっては本当に失礼なことかもしれないです。ただ、彼らが私に与えてくれた影響もそうですし、みんなに与えた影響もそうですし、そういう意味では彼らに対して、私からできる最後の感謝の行動だったんです」と平岡監督。ラスト45分間のゴールマウスは梅田に託された。

 少しずつ、少しずつ、終わりの瞬間が近付いてくる。後半43分に3年生の佐野陸人が追加点をマークし、アディショナルタイムには長期離脱から帰ってきた齊藤も、チームの3点目を記録する。その直後。唯一ベンチに残っていた3年生の中村亜龍が、“プレミアデビュー”となるピッチへ駆け出していく。「もう本当にシナリオ通りで、亜龍も出せて、点を取ったのが全部3年生で、『最高の学年だったな』って思いました」(齊藤)。12人の3年生全員が“聖地”の芝生に立った清水ユースのラストゲームは、こうして白星と共にタイムアップを迎える。

 バックスタンドの前に選手たちが整列し、おなじみの太鼓が聞こえてくる。日本平で勝ったらこれは外せない。“勝ちロコ”の始まりだ。肩を組み、ステップを踏み、歌を唄う。「『これで最後なので、楽しくやれればいいな』と思って、みんなで盛り上がるために自分がやり切りました」と笑った天野がユニフォームを脱いで裸になると、数名の選手がそれに続く。「前回の山田戦もユニフォームを着ていないのに、アイツは普通の格好で脱ぎ出して。ベンチに入っていなかったのに、それでもまったく気にせずやってくれる所が逆に嬉しかったですね」と笑った梅田。「これで最後なので」とは言ったものの、クラブユース選手権の時も、梅田が明かした前節も、天野と“仲間たち”は裸で踊っていた。そのことは彼らのキャラクターに最大限のリスペクトを払った上で、書き記しておきたいと思う。

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