1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:一家団欒(長崎総科大附高・一倉加偉、一倉李基)

ゲキサカ / 2019年1月3日 7時24分

 後半11分には相手のチャンスに、体を張って止めた加偉へイエローカードが提示される。展開に際立った変化は訪れない中で、スコアが動いたのは23分。古堅詩音の右クロスに、飛び込んだ千葉翼のヘディングがゴールネットに突き刺さった。先制したのは長崎総科大附。残された15分余りの時間を確実に潰し、時計の針を確実に進めていく。「公式戦に一緒に出たことはちょくちょくあったんですけど、たぶんフルで一緒に出たというのはなかったと思います」(加偉)。タイムアップの瞬間を、兄と弟は初めて一緒にピッチで迎える。「勝った瞬間は本当に最高でした」(加偉)。彼らの約束の舞台は、さらに1つ先へと進むことになった。

 2人にはこの日のゲームで、どうしても負けられない理由があった。「もう親戚も両親もみんな来てたんですけど、お姉ちゃんだけが初戦に来れないので、『絶対に初戦は勝って、お姉ちゃんに試合を見せてあげて』とは言われていました」と加偉。勝ったことで、家族全員での試合観戦が実現する。「お姉ちゃんとは連絡取ってたの?」と尋ねると、李基は少し笑ってこう口にした。「大会期間中はケータイをスタッフに預けてるので、やり取りはしていないです」。続けた言葉が印象深い。「連絡は取れないですけど、全然嫌ではないです。逆にサッカーだけに集中できて良いと思います」。想いを見せられるのはピッチの上だけ。これはこれで、サッカー選手らしくて潔い。

 加偉は李基をこう見ている。「サッカー面ではキックが上手いので、サイドチェンジをバンバンやってくれますし、やる時はやってくれるヤツです。性格は普段から面白いヤツですけど、俺からしたらダメなヤツです(笑)」。李基は加偉をこう見ている。「チームで一番声を出して、みんなの雰囲気を良くしてくれますし、球際や1対1の対応とかも安心して見てられます。普段はうるさいヤツですね(笑)」。さすがに寮の部屋は別々らしいが、会話は少なくないそうだ。

 指揮官からはさまざまなことを教わってきた。「小嶺先生は本当に尊敬できる人です。すべてがしっかりされていて、話は面白いですし、親しみやすさもあります。それに挨拶の所を本当に言われるので、挨拶はしっかりできるようになったかなと思います」(加偉)。2人の発したフレーズが重なる。「本当に長崎に来て良かったと思います」。だからこそ、結果で3年間の感謝を形にしたい。その想いを持っている選手は、言うまでもなく彼ら兄弟だけではないだろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください