1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

キーワードは『コトに向き合う』。24歳でプロ引退、会社員・井筒陸也の未来は…/ロングインタビュー第3回

ゲキサカ / 2019年1月9日 6時30分

 でもやっぱりプロのすごい選手は、相手と自分の立ち位置をイメージしながらプレーしています。ウイイレ(ウイニングイレブン)とかで、下のほうにピッチ内の図があるじゃないですか。あれを頭の中で動かしながらプレーしていて、ルックダウンしているからもちろん全体は見えてないんだけど、『自分がボールを持った時は相手がプレスをこうかけてくるから、いまはこういう形になっていて、ってことはここが空いているから…』という感じで見なくても出せるんです。

—難しそうに聞こえるんですが、できるものですか?
「『自分たちがこういうポジションを取ったら、相手がこういうポジションを取ってくる』ってのは、リカルドの中にイメージがちゃんとあったんですよね。戦術的に優れた監督はそれを持っているんじゃないでしょうか。『こっちがどういうポジションを取っても、相手がどう動いてくるか分かんない、想像できない』って人は先の展開を読めないんでしょうけど、リカルドは『このフォーメーションでこうなったら、井筒は相手の2人のフォワードについて、最終ラインの3枚でこうやって剥がすんだよ』と。

 まあ、僕もそこまではだいたい分かっているんですけど、『そこでドリブルで持ち上がったら、誰がプレスに出てくるか、そこの動きはこうだから』ってことをきちんと想像して、週の初めに言うんですよね。『ここが出てくるからこうなる、次はここにパスを出せば、きっとここが出てくる』って。なので、試合までの1週間はそれに基づいたビルドアップの練習をするという感じです。それを1年間通してやっていって、パターン的に覚えていました。

 ただ、そこでは人間性を問われるんですよ。人間力といいますか。上手ければいい、身体能力高ければいいって時代じゃないのは分かってるんですけど、じゃあプラスアルファで何が必要なのかって言うと、人間力なんだと思います。『こういう風に味方が動くはず』っていうのも、人間力がないと分からないんです。

 たとえば、後半になるとサボりがちな若手がいた場合、自分がトラップした時には『ああ、この時間帯だとアイツあそこにいないな』ってことが分かってくる。でも、独りよがりな人は『何でいないんだよ』って話になって、パスミスをしてしまう。

 チームの方針がそうであれば、その人の選択も間違ってはいないんですけど、チームの勝利を目指す上ではただのパスミスじゃないですか。そこは人間性とか人間力が重要で、それは育成年代から伝えられればいいなって例はたくさんありますね。プレーが全てじゃないなって思います」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください