キーワードは『コトに向き合う』。24歳でプロ引退、会社員・井筒陸也の未来は…/ロングインタビュー第3回
ゲキサカ / 2019年1月9日 6時30分
—戦術を理解するのにも人間性が必要、ということですね。
「人間同士がやることなので、一番難しいのは戦術を覚えることじゃなくて、みんなでボールを運んでやるってことじゃないですか。それがつながった瞬間が面白いんです。前に知人から聞いたことがあるんですが、サッカー好きなMr.Childrenの桜井和寿さんも『サッカーって何が面白いですか?』って聞かれた時に『サッカーって、言葉を交わさずにイメージがシンクロする瞬間があって、それが楽しい』って答えているらしいんですね。
他の競技だと、たとえば野球はもっと個人が強くなってくるし、アメフトになると今度は戦術がしっかり決まってるじゃないですか。サインとかもたくさんありますし。でも、サッカーは11人ずつで、プレーの変数も多くて、試合が始まったら90分間続けていかなきゃいけない。そのイメージを共有していくには、人間面の成熟とは切っても切り離せないものなのかなと思います」
—高校生、大学生の育成でも、戦術理解より人間性が大事だと思いますか?
「思いますね。結局は戦術も変わっていくし、流行り廃りもあります。僕は徳島での1年目のシーズン、42試合ずっとベンチ外でした。そこでグレちゃうかどうかって人間面の違いだけだと思うんですよ。グレたら終わりだし、グレたら何もできない。そういうのが人間的に備わっていないと、その上に何も積めないと思います」
—人間面って言うと『礼儀、礼節』、あるいは育成年代では『ゴミ拾い』など色んな要素で語られていて、言語化するのが難しいですよね。井筒選手はそれをどう捉えていますか?
「礼儀、礼節とかどうでも良いです。やっぱり、自分で考える能力じゃないですかね。自分で考えてゴーを出してればいいんですよ。たとえグレても。グレようと思ってグレてる人、『むしろここはグレよう』みたいな人なら(笑)。長い目で見た時に、それでも良かったってなると思います。
でも、普通はグレる時って周りに流されるんですよね。『お前が試合に出られないのはおかしいよ』って周りに言ってもらったりとか、『こんな状況だと無理じゃん』って感情に支配されたりとか。自分の意識じゃなくて、もっと動物的なもので流されていると思います。
でも、自分で考えられるような人は、周りにどう思ってもらうためにやっていこうとか、長期的な計画を持ってやっていこうとか、そこは何でもいいんですけど、そういった視点で行動できます。自分で考えていれば何でもいいし、荒くれ者がいても面白いし、みんながみんな礼儀礼節のもとで掃除をして、という必要性は全くないですよね」
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