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キーワードは『コトに向き合う』。24歳でプロ引退、会社員・井筒陸也の未来は…/ロングインタビュー第3回

ゲキサカ / 2019年1月9日 6時30分

—そのあたりはスポーツが「勝利を目指す」という前提にあることにも繋がってきますよね。井筒選手は『敗北のスポーツ学』として、そこまでの過程を重要視しておられましたが。
「その辺の解釈はすごく難しいと思っているんです。スポーツという文脈で話をする上では、結果はソリッドかつシャープなので。たとえば、音楽業界の人と話していると『音楽業界が気持ち悪いのは勝ち方がいっぱいあるから』っていうんですね。オリコンの売り上げ、CDの販売枚数ってものがあるけど、でもAKBグループのやり方は『あれは勝ちじゃない。自分たちはこういうふうに受け入れられているから勝ちだ』って批判があったりして。

 逆にスポーツは1-0、2-0とか結果がソリッドだし、そこで勝ち負けが表れます。もっとも、僕はいろんな勝ち方があってもいいんじゃないかとも思っていて、そこはどっちもどっちだなって思うんです。ビジネスも売り上げだけじゃなく、働き方ランキングとかいう指標もありますよね。スポーツは結果に堅い評価基準があるので、そこに別の価値があるのかをジャッジしていくことが重要になっていくのかなと思っています」

—結果という『コトに向き合う』一方で、何らかの価値、理念を実現していくという考え方ですね。
「スポーツはそのアンビバレントな感じがめっちゃいいなって感じていますね。プレーヤーではスライディングができるのかできないのかが問われますけど、マクロな視点で言えば社会や未来を感じながら理念を追うこともできます。そこを行ったり来たりできるのが重要だと思いますし、理念だけとか、現場だけじゃなく、相乗効果を与えることもあると思うので、楽しいなって思います」

—そういう点では、結果を問われるJリーガーが『理念』と向き合える機会ってあまりないんですかね。
「それは両方に言えますね。クラブがあまり期待をしていないし、選手もやんないほうがいいって部分があります。僕としては『いやいや、両方やったほうが相乗効果ありますよ』って思うんですけど。ただ、これから自分が両方の仕事を体現していけば、だんだんそういう風潮になっていくと思います。

 音楽業界の話で言えば『組織の意思決定にアーティストが関わっていないのが不思議で仕方ない』って話もあって、それは『クラブの経営に選手が関わるのが自然なんじゃないか』ってことでもあります。音楽業界ではだんだんレーベルの意思決定にアーティストが関わっている事例もあるようなので、サッカー界でも前例を作っていけば変わっていくのかなって思いますね」

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