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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:グリーン・ラプソディ(帝京長岡高)

ゲキサカ / 2019年1月10日 19時0分

 サッカーの神様は、時として柔和に微笑み、時として冷徹に顔を背ける。埼玉スタジアム2002への切符を巡る、尚志高とのクォーターファイナル。まず帝京長岡は先に後者の表情に魅入られてしまう。前半22分。「パスを出そうと遠くを見たけど、近くが見えてしまって、一瞬迷った」小泉が最終ラインでボールをかっさらわれると、そのまま相手に先制点を奪われる。彼の安定感を考えれば、にわかには信じがたい形での失点。選手たちは円陣を作り、再度自分たちのやるべきことを確認する。

 後半は帝京長岡が圧倒的にペースを握ったが、1点が遠い。14分に小池が掴んだ決定機はGKに弾き出され、長渡が放った19分のミドルはクロスバーに阻まれる。さらに終了間際の38分には“長岡らしい”崩しで細かくパスを繋ぎ、小池がシュートまで持ち込むも、DFをかすめてサイドネットの外側へ。40+2分に谷内田が枠へ収めたシュートもGKのセーブに遭い、しばらくしてから試合終了を告げる笛の音が耳に届くと、グリーンのユニフォームを纏った選手たちが、長い影の伸びたグリーンの芝生へ崩れ落ちる。『弱い弱いと言われてきた代』の冒険は、“史上最高”に並んだ所で終焉を迎えることとなった。

 少しだけ目を赤くした長渡は、すっきりとした顔で取材エリアに入ってきた。失点シーンを問われると、毅然とした口調で言葉を並べる。「ヨシヒトのミスってみんな思うかもしれないですけど、アイツがいなかったら絶対ここまで来れなかったし、別にそれはみんな全然気にしてなかったです」。話していく内に“仲間”への感謝が溢れてくる。「テヅカも最後までああやって頑張ってくれていたし、3年生はユメトもコイケも、交替で入ってきたトウジとかヒナタも最後に自分を出せたと思うし、やりきったと思います。自分たちの代はずっと『弱い弱い』と言われていて、『絶対見返すぞ』という気持ちでずっとやってきて、そういう意味では『弱くてもできるんだぞ』っていうのを後輩には見せられたと思うし、あとはアイツらなら絶対に日本一を獲れると思うので、頑張ってもらいたいです」。“後輩”へエールを送り、去って行く長渡の背中には、確かな“やりきった感”が漂っていた。

「最後にコイケのシュートが入ったかなと思ったんですけど、良いブロックをされてしまって…」。トータルで4得点を挙げながら、大声でチームを鼓舞するなど、躍進を最前線で牽引した晴山については、キャプテンも「2年生ではミサキが一番自分の声に反応してくれるんです」と、その姿勢を評価していた。「3年生は『弱い弱い』って言われていて、その反骨心で頑張っていたのかなという部分は凄く感じていたんですけど、最後は自分たち全員が学年関係なく1つになって戦えたので、そこはこの1年間での成長だったかなと思います」。

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