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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:誇りを胸に(流通経済大柏高・吉田俊輔)

ゲキサカ / 2019年1月18日 20時22分

 6月。吉田がようやく練習に復帰したタイミングで、チームに激震が走る。総体予選準決勝で習志野高に1-2で敗れ、連覇が懸かっていた全国への切符を取り逃がす。とりわけ4月の県リーグで習志野に勝利を収めていたBチームの選手を含め、スタンドで応援していた3年生は、Aチームの不甲斐ない戦いぶりが許せなかった。明くる日。高橋隆コーチの呼び掛けで、メンバーに入っていなかった3年生が集められる。吉田の感情はその場で爆発した。

「復帰したばかりで、県予選は間に合わないけど、全国にはチャレンジできる時期だったので、親にも試合に出ている姿を見せたいし、という話をしていたらなんか泣いていて。お世辞にもAチームが本気で頑張っていたとは言えないし、郁万やクマ(熊澤和希)とか苛立っている選手を律する選手がいなかったとか、そういった話をして、その時はメチャクチャ感情的になっていました」。

 その次の日。3年生全員によるミーティングが開かれた。ここでも吉田は、自らの心情を包み隠さずぶちまける。「『出れないヤツの気持ちも背負うのは大変だと思うけど、やっぱり試合に出られる責任を持って、みんなの想いも背負って戦って欲しい』とは言った覚えがあります。うっすらですけど。確かそんなだった気がします」。

 このミーティングは、今年の流経大柏の大きな転機となった。「もっと責任を持って、もっと本気でやらなきゃいけないと思いましたし、アレがなかったらここまで来れていなかったです」(西尾颯大)「あのミーティングがなかったら、ここまで来れなかったというくらい大きな意味のあるものでしたし、そこで本当に3年生の絆も深まったので、自分たちのターニングポイントになりました」(左部)。

 吉田は年末にあるチームメイトの変化を実感していた。Bチームが挑んだプリンスリーグ関東参入戦の初戦。スタンドで応援していた試合後に、掲出していた横断幕を率先して片付ける関川の姿を目にする。「郁万は変わったと思います。アイツもプロになるから結構チヤホヤされてたじゃないですか。それでフワついていたのが自覚も芽生えて、しっかりやり始めて。他人に任せるんじゃなくて、自分から発信していくみたいな。この学年に植え付けられたかはわからないですけど、そういうことはできてきたんじゃないかなと思います」。嬉しそうに話す吉田の笑顔が印象深い。

「見ててわかる通りみんな凄いんですよ。だから『自分なんかじゃ到底メンバーには入れないな』とは思っていました」。選手権に出場する30人の登録メンバーに吉田の名前はなかった。高橋コーチは彼の心を推し量る。「千葉県予選は登録制がないから、“応援団”って言われることで、『もう選手としてはメンバーに入らないよ』って思われるのが嫌だったりとか、そのへんの葛藤はあったはずですよ」。

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