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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:誇りを胸に(流通経済大柏高・吉田俊輔)

ゲキサカ / 2019年1月18日 20時22分

 本人も素直な心情を口にする。「正直県予選とかは『応援やりたくないな』って想いはあったんですよ。それはどの3年生も思っていたことで、ちょっと悔しい気持ちもあったんですけど、30人が決まってからは吹っ切れましたし、自分の中では整理がついて、『応援をメインに』みたいな感じにはなりました」。

 1年からクラスが一緒の猪瀬康介は、吉田の姿勢に感心させられたと明かす。「メンバーを外れた時も、たぶん本当は悔しくてしょうがないと思うんですけど、次の目標に向かって『オレもサッカー続けるから、大学で試合に出れるように頑張るわ』ってすぐ切り替えていて。悔しい気持ちをあえて外の人には見せない姿勢を吉田から学びました」。ゴールキーパーの猪瀬も卒業後はFC琉球への加入が内定している程の実力を有しながら、夏以降は1年生の松原颯汰に定位置を譲っていた。立場は違えども、悔しい想いが一緒なら、チームを最優先に考える想いも一緒。自身の役割を果たすべく、猪瀬はベンチから、吉田はスタンドから、チームを支える覚悟を決めていた。

 だからこそ埼玉スタジアム2002に訪れた“ある瞬間”は、2人にとっても特別な瞬間だった。選手権準決勝。瀬戸内高に5-0と大きくリードを奪って迎えた後半30分。緑のユニフォームを纏った猪瀬の姿がピッチサイドに現れる。「吉田が『オマエが出る時は本当に一生懸命応援するから』って試合前に言ってくれて、『常に応援してくれているんだな』っていう後押しはされていましたね」(猪瀬)「本当に泣きそうでした。アイツの苦労や悩んでいたことも知ってたし、やっぱり自分も『康介には出て欲しい』と思っていたので、本当に本当に嬉しかったです」(吉田)。

 応援団長を筆頭に発せられた凄まじい声援が、ゴールマウスへ走って行く17番の背中に降り注ぐ。「自分がああいう立場だったら絶対腐ってるし、アイツの諦めない気持ちは、人としてもサッカーのプレーヤーとしても本当に尊敬できるし、康介はオレのお手本です」。吉田と猪瀬にしかわからない想いが、あの日のスタジアムでは交錯していた。

 メンバー外の選手で行う決勝前日の練習時間を設定した高橋コーチは、3年生だけをトップチームと同じタイミングで集めた意図について、こう話す。「3年間共にやってきて、それぞれの想いもあるから、接する機会を作ってあげたいなって。やっぱり応援団とピッチって会ってはいるけど隔たりはあるので、同じ空間に置いてあげたいなって。それが今日しかなかったんです」。

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