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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:光の射す方へ(関東一高・佐藤誠也)

ゲキサカ / 2019年5月15日 19時50分

 ただ、1年目でのブレイクは本人が思い描いていた未来予想図と少し違っていた。「自分は『3年生で活躍するぞ』みたいな気持ちで高校に入ってきたんですけど、1年目からインターハイでちょっと活躍したりして、それは予想外でした」。周囲からの期待値と、自己評価のギャップに薄々は気付いていたが、前者に応えたい気持ちが後者の感覚を少しだけ上回っていく。

 すると、「『春にはT1で定位置を確保しよう』と、『絶対欠かせない選手になろう』と思って」2年生に進級したものの、どちらの決意も実現には至らない。主戦場はBチームが戦うT3リーグ。総体予選も大半の試合をベンチで過ごし、チームメイトが全国への切符を手にする姿をピッチの外から見守った。さらに、1年前に輝いた夏の晴れ舞台で復活する姿を思い描いていたものの、全国を目前にした合宿でBチーム行きを命じられ、メンバー落ちを突き付けられる。

「1年の時は迷いなくできていたんですけど、2年になって自分のプレーに『これでいいのかな』って感じが出てきて、決断も遅くなって、パスカットされるようなことも多かったと思います」。何度か浮上するキッカケを掴み掛けては、また掴み損ねることの繰り返し。右サイドバックで起用された選手権予選の初戦では、東京実高相手に劣勢の展開を強いられ、決着はPK戦へ。佐藤は3人目のキッカーとしてきっちり成功させたが、3人が失敗した関東一はまさかの初戦敗退を喫し、3年連続での全国出場は露と消えた。

 佐藤はその頃を少し苦々しく振り返る。「1年目からたくさん試合に絡ませてもらっていましたけど、先輩に頼りっぱなしだったんですよね。だから、あの人たちが卒業した時に、自分が1人でやれることが何もなくて、チームを統率するとか、強気で前に出て行くとかもできていなかったなと」。個人としてもグループとしても、明確な打開策を見つけ切れないままに年は明け、最後の1年が否応なくスタートする。

 新チームでのポジションもサイドバック。「去年の選手権からサイドバックをやることが多かったので、『これからサイドバックでやっていこう』と思って、マンチェスター・シティとか見ながらサイドバックのことを勉強していたら、冬はセンターバックになったりしたんですけど、自分はそんなに身体能力も高くないし、足も速くないので裏を取られまくったりして、そこも悩んでいました」。トレーニングマッチやフェスティバルでも厳しい試合が続く。そんな状況で挑んだ前述のT1リーグ開幕戦も、結果は言い訳のしようがない完敗。「どうしてこうなった?」「いつからこうなった?」。まるで迷路に迷い込んだような日々の中で、佐藤はもがいていた。

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