『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:光の射す方へ(関東一高・佐藤誠也)
ゲキサカ / 2019年5月15日 19時50分
4月2日。開幕2連敗となった関東一は、連勝スタートを切った実践学園高とリーグ戦で対峙する。言わば“背水の陣”の一戦。「今日は『この試合で勝って、自信を持って関東大会予選に進めるように』と、『チームとしてテンションや熱量を高めに試合へ臨もう』という試合でした」と説明した佐藤の背番号は、自ら志願して付けていた10番ではなく、8番に変わっていた。加えてポジションも右サイドバックではなく、3枚で組んだ中盤のアンカーに。小さくない変化と共に勝負の90分間が幕を開ける。
序盤から実践学園の勢いが鋭い。早々に得たPKこそクロスバーにぶつけたが、それからもチャンスを連続して創ると、33分に得たこの日2本目のPKはきっちり成功。ビハインドを追い掛けることとなった関東一も、攻撃のリズムは少しずつ出てきたものの、決定機は生み出せない。そして、スコアは変わらずに迎えた後半24分。突如として8番が覚醒する。
自陣でボールを受けた佐藤は「最初はそのまま左に流れて、ずっと縦に行こうかなと思ったんですけど」、周囲の状況を見て巧みにコースを変えながらグングン前へ。50メートル近くを単騎で運び、最後は少し右へ流れながら対角へ打ち込んだシュートが、そのまま鮮やかにゴールネットを揺らしてみせる。「勇気を持ってシュートまで行けましたし、最後は気持ちでねじ込みました」と笑った一撃は、スタンドも声を失う驚愕のゴラッソ。この1点がチームのテンションにさらなるパワーを注ぎ込んだ。
終了間際の43分。2年生の宇山輝からリターンを受け、同じく2年生の平田晟也が思い切り良く叩いたシュートはゴール右スミに転がり込む。狂喜する関東一のイレブンとベンチ。「最高だったんじゃないですかね。一番ベストな勝ち方だった気もします」と小野監督も口にする劇的な逆転勝利。苦しんで、苦しんで、ようやく勝ち点3を獲得したキッカケが、佐藤の同点弾だったことは疑いようがなかった。
「メッチャ良かったです。全体が見えるし、攻撃にも守備にも関われるので、やっぱり“真ん中”は楽しいです」。久々に中盤を任されたことについて語る8番も、心なしか表情が柔らかい。それでも会話を重ねる内に、自らの苦悩についても言及していく。「新チームが始まって、自分のパフォーマンスも上がらないし、チームもなかなか波に乗れなくて、サイドバックをやったり、センターバックもやって、番号も変わって、自分の中でいろいろ考えていました」。
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