『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:凱旋(ベガルタ仙台・照山颯人)
ゲキサカ / 2019年5月30日 20時7分
1点ビハインドの後半21分に、道渕諒平との交替でベンチへ下がる。チームはその後同点に追い付き、グループステージの無敗を堅持。「トップチームの選手になって、ここでプレーするのは1つの目標でした。スタンドから見ていた時も応援の凄さだったり、選手との距離感はずっと肌で感じていたので、今日はピッチの中から自分が選手としてプレーする立場でも、その距離感の近さは体感しましたし、嬉しい時間でした」。最終節で“日立台”への凱旋を果たした照山も、結果的に全6試合でスタメンを勝ち獲っており、プレーオフステージ進出の一翼を担ったと言って差し支えないだろう。
試合後。ピッチ上で照山と杉井が言葉を交わすシーンがあった。「『ユニフォーム交換したかったね』って。どっちも90分出ていたら交換したかったんですけど、『今ユニフォーム、ロッカーだよ』って(笑) それはまた次回にということで、いつになるかわからないですけど、できたらいいですね」と杉井。同じく照山とU-15時代の同僚に当たり、このゲームに途中出場したことでトップチームデビューを飾った山田雄士もこう言及する。
「自分が出た時はもうテルが足を攣っていてピッチにいなくて、そこは凄く残念だったんですけど、先にテルはもうルヴァンで試合に出ていて、自分の中では頑張って欲しい気持ちと悔しい気持ちがあったので、今日やっと同じピッチに立てて良かったなと思います」。お互いに別々の道を歩み、3年後に約束の地で再会した3人。杉井と山田にとってプロデビュー戦の日に照山が立ち会っていたことも、不思議な因縁を感じずにはいられない。
杉井や山田に対する照山の心境も、少しずつ変化しているようだ。「彼らとは良いライバル関係というか、彼らが頑張っていたら『オレもやらなきゃな』と思いますし、『絶対にアイツらには勝ってやる』とか、そういう気持ちも少しはありますけど、それより今は『もう1回一緒にプレーしたい』という意識の方が強いですね」。
あるいは劣等感を抱いていたかもしれない。あるいは諦めに似た感情に支配されていたかもしれない。それでも、素晴らしい仲間と素晴らしい指導者に恵まれ、自身を研鑽し続けた3年間を経て、彼らと同じプロサッカー選手という職業まで辿り着いた時、気付けばかつての感情は消え、より強い絆を実感することができたのだろう。そしてその絆は、これから長く続いていくキャリアの中でも、一際かけがえのないものとして輝くことになるはずだ。
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