『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:Strawberry on the Shortcake(國學院久我山高・山本航生)
ゲキサカ / 2019年6月27日 22時21分
中学時代は東急SレイエスFCでプレーすることになったが、「もう入団したぐらいから、コーチにも『僕は久我山に行きたい』って伝えていました」と本人。その逆算から自らのプレーに磨きを掛けていく。また同校へ入学するには、学業での好成績も欠かせない条件の1つだ。「久我山でサッカーをするためにやっていたことは、やっぱり勉強が一番ですね。成績が懸かってくるので」。サッカーと勉強を両立させながら、“憧れ”へと一歩一歩地道にステップを踏んでいく。
時間を重ねるごとに、想いは一層強くなる。「清水監督がよく来てくれて、自分のプレーを見てくれて、結果的に評価してもらえました」。サッカー面と学業面を総合的に評価された上で、スポーツ推薦での入学が決まる。『憧れの向こう側』から、『憧れのこちら側』へ。2017年。桜の季節。山本は念願だった國學院久我山高校の校門をくぐった。
1、2年時の主戦場は左ウイング。特に2年時は同じレイエス出身で、学年が1つ上の宮本稜大(現慶應義塾大)という絶対的なセンターフォワードが躍動していたこともあり、正直に言って山本が得点していたイメージはない。「去年のセンターフォワードとしてのチョイスが航生にあったかと言うと、あまり考えられなかったですね」と明かすのは清水監督。位置付けとしては交替カードの1枚目か2枚目。チームも選手権予選の準々決勝で敗退したため、大きなインパクトは残せずに最終学年を迎えることとなる。
4月2日。既に彼は覚醒の中にあった。T1(東京都1部)リーグ第3節。東京武蔵野シティFC U-18戦。まだキックオフから1分も経たない時間帯。左から山下貴之が入れたグラウンダーにニアへ飛び込むと、右のポストを叩いたボールはゴールへ転がり込む。続いては7分。山下のシュートのこぼれ球にいち早く反応し、左足で豪快にニアサイドを撃ち抜いてみせる。以降も幾度となく決定的なチャンスを迎えるなど、常にゴールの香りを漂わせていた9番。目の前のストライカーと、それまでの山本のイメージがなかなか結び付かなかっただけに、その衝撃は相当な大きさだった。
試合後に話を聞くと、「1点目は『触った』って言ったらたぶんタカに怒られちゃうので、アレは触ってないです」と笑いながら、9番は自身の心境の変化について口を開く。「Tリーグは開幕から3試合連続で点が取れていて、自分の中でも調子が良いとは思っています。特に去年も一昨年もあまり試合に出られていなかった分、今年は『自分が点を取ってチームを勝たせられるように』と思ってシーズンに入りました」。
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