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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:約束(大成高・金井渉)

ゲキサカ / 2019年7月1日 11時45分

 東京に2枚用意された沖縄行きの全国切符。その“2枚”を巡る総体予選がスタートする。一次トーナメントは日大鶴ヶ丘高を6-0で退け、二次トーナメント初戦では難敵の実践学園高を1-0で撃破。そして、前述の準々決勝でも佐藤の決勝ゴールで粘る堀越を延長戦の末に下し、悲願達成へ王手を懸ける。ただ、こちらも前述した通り、佐藤は大会2回目の警告を受けたため、準決勝は出場停止。チームは守備の大黒柱を欠いた状態で、大事な一戦へ向かうことを余儀なくされる。

「急にイライジャがいなくなると、この1週間だけじゃ立て直すのは結構難しいというのはありましたし、練習では2年の金井(陸人)と一緒にセンターバックを組んだんですけど、あまりうまく行っていなくて…」。ポジションもいつもの左センターバックではなく、右センターバックへ。1つ位置がズレただけでも、視野は大きく異なる。金井の中で小さくない不安が募っていく。

 ようやく吹っ切れたのは準決勝の前日。「普段はずっとイライジャが隣で戦ってくれていた分、『次は自分がその仕事をやらなきゃ』という想いはあったので、いろいろ不安はありましたけど、『あとは楽しんでやるしかない』と思ったんです」。もう、やるしかない。その覚悟を決めた上で、佐藤との約束を実行に移すべく、豊島監督の元を訪れる。

 自らの背中に馴染んだ“5”ではなく、この試合だけはアイツの“4”を代わりに背負うことを、もう自分の中で決めていた。「イライジャに『次は4番を付けて、オマエの想いを背負うよ』と言ったんです。自分が想いを背負って、少しでも『一緒に戦っている』と思ってやりたかったので、昨日の練習が終わった後に豊島さんにこっそり『4番、付けたいです』と言って、急遽変えさせてもらいました」。

 指揮官もその時をこう振り返る。「『ああ、そうか。背負いたいんだな』って。彼らは3年間組んできているセンターバックですし、『イライジャは凄い』『イライジャがいるからオレもやれている』といつも言っているので、そういう部分で『背負いたかったんだな』とわかって、即答で『いいよ』って言いました(笑)」。“4”のユニフォームに2人分の想いが重なる。もう、やるしかない。

 6月22日。総体予選準決勝。対峙するのはプリンスリーグ関東でも好調を維持している帝京高。相手にとって不足はない。金井はいつもとは違う“4番”を背負って約束のピッチへ歩みを進めていく。気付けば、前の試合まで17番を付けていた金井陸人の背中が“5番”に変わっていた。全国の懸かったこのゲームでも、大成の最終ラインには見慣れた“4”と“5”が揃う。スタンドに陣取った佐藤が応援の声を張り上げる。それぞれの選手が、それぞれの立場で、運命のキックオフを待つ。

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