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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:ミラクル・アゲイン(駿台学園高)

ゲキサカ / 2019年8月30日 19時41分

 翌週の関東大会予選初戦で新チームの初勝利を挙げるも、2回戦で当たった都立東久留米総合高にPK戦で敗れると、翌月の総体予選一次トーナメントでは、駒込高に0-1で競り負けて初戦敗退の憂き目を見る。「上の代が結果を残した焦りが出てしまって、2年間やってきたことがまったく出せませんでした」とは村雲。この頃の彼らはなかなか出口の見えない迷路の中で、必死にもがく毎日を過ごしていた。

 指揮官も今年のチームの難しさを実感していた。「去年と同じことを伝えているんですよ。でも、結局聞き手の子たちが変われば、また違ったように捉えていくので、長年指導者をやっていますけど、この難しさは凄く感じますね。また僕がこんな“オリャー”って感じなので、彼らが苦しんでしまっている部分はあるんじゃないのかな」。とはいえ、村雲や三瓶をはじめとした駿台学園中出身者は、“全中”を経験している世代。決して力のないチームではない。

 10番を背負う高橋秀斗の分析が興味深い。「自分たちはみんなちょっとメンタルが弱くて緊張しちゃうんですよ。Tリーグだとメッチャパスを回したりして、上手い形を作れたりするんですけどね」。その言葉を証明するかのように、総体予選以降に6月、7月、8月と1か月に1試合ずつ開催されたTリーグでは3連勝を達成。「インターハイで負けてからみんなで話し合って、話し合ったことを練習して、それからTリーグでも3連勝できたんです」とは三瓶。リーグ戦での好調を追い風に、負ければ終わりの真夏のセンシュケンへと向かう。ところが、その舞台で彼らを待っていたのは冷や汗とミラクルの連続だった。

 8月16日。選手権一次予選初戦。駿台学園は崖っぷちに追い込まれていた。都立美原高との一戦は「前半は押してはいたけど0-0。後半は先に1点取られてパニック」(大森監督)という展開。何とか残り10分で追い付きながら、後半終了間際に勝ち越しゴールを奪われてしまう。ただ、「本当に瀬戸際になってようやく『マズい』って気付く子たち」と指揮官が評した“瀬戸際”で意地を見せる。ストライカーの三瓶がアディショナルタイムに執念の連続ゴールを記録。奇跡的な逆転劇を演じ、辛うじて次のラウンドへと勝ち上がった。

「試合の次の日くらいまでは調子に乗っちゃいました。まあ、その後は2日連続で練習中に監督から『Twitterで取り上げられたからって調子に乗るな』って喝を入れられましたけど(笑)」と照れくさそうな三瓶の笑顔に、何とも言えない“駿台っぽさ”が滲む。「美原高校とは練習試合もやらせてもらっていて、力があることは知っていたので、かなり警戒はしていて。そうすると今度は不安になって過緊張ですよ」と苦々しい顔は大森監督。まさに結果オーライ。しかし、彼らにはまた同じようなシチュエーションに直面する未来が待っていた。

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